昨日の夕方の空。
いろんな色があって美しいわー。
さて、ここ数日読んでいる本が、こないだちょっとだけ書いた(っけ?)、「イギリスのスティーヴン・キング」と呼ばれる新進気鋭の女性作家C・J・チューダーの『The Other People』というスリラー。私が洋書で読むのはたいていスリラー系です。純文学も好きだけど、あんまり脳みそ使わなくてもぱぱっと読めるのはやっぱりエンタメ系なんですよね。
和訳されたものはまだ出てないようですね・・・。
おや?これ表紙が私のと違うな・・・。こういう表紙もあります。↓
これがもう、いわゆる「Page Turner (ページ・ターナー)」なんですわ。つまり、一気に読ませる、一度手に取ったら置けない本。
5歳の娘を持つゲイブは、なかなか仕事が忙しくて家にいる時間がありません。で、妻に「週に一度でいいから家族との時間を持ってほしい」と言われながらも毎晩、娘の寝る時間に帰ることができないでいる。ある日も、約束の時間に帰ろうと高速道路をじりじりしながら走っているのですが、その時、前を走っていた変な様相の車の後部座席から、ひょこっと小さな女の子が顔を出して、すぐ後ろを走っていたゲイブのほうを見ます。そこでゲイブの顔から血の気が去る・・・前の見知らぬ車に乗っていたのは、ゲイブの娘だったんです・・・。
「ダディー!」
と女の子が叫ぶ。すると、運転手が彼女の肩を押さえて座席に座りなおさせます。そしてほかの車を追い越し、逃げ去ってしまいます。呆然とするゲイブ。そこに、電話がかかってきます。
「警察の者です。お宅の奥さんと娘さんのことでちょっと・・・」
ゲイブの自宅では、強盗に撃たれて妻と娘が亡くなっていました。
「そんなはずはない。僕は娘が見知らぬ車で連れ去られたのを見たんだ。死んだのは娘じゃない」。娘は誘拐されたんだ」
どういうこっちゃ???
という始まりです。んでもって、ほかにも、誰かから逃げてる女性と子どものコンビ、ゲイブを手助けしてくれる謎の男、なんか秘密があるカフェの女性店員とかいろいろチャプターごとに交錯して、次がどうなるのかが気になって本が置けない(笑)。
えーと、今半分くらいまで読んでますが、どうやら家族を殺されたりひどい不幸があったような人たちが、闇インターネットを介して、同じような思いをした「赤の他人」に自分に起こった事件の「精神的解決」を依頼できる、というサービスが存在するらしいのですね。警察や司法では解決できない精神的な解決を提供するのが、この「The Other People」と呼ばれる闇サービスなわけです。このサービスを使うと、例えば変態に子供を殺された親が、その変態を抹殺してくれるよう、他人に依頼できる。すると依頼された人はそれをしなければならない。でも、その見返りとして、その人も依頼主にたいして自分の希望を何でもひとつだけ依頼することができる。依頼のエクスチェンジですね。大したことない依頼である場合もあれば、殺人だったりすることもあるみたいよ?という。そんでもって、依頼されたことをやらないと、なんか怖い人たちが追いかけてくるみたいで、必死で逃げないと大変なことになるようですよ。
そしてどうやら、ゲイブの娘を誘拐した人物が、このサービスにかかわっていたらしいということがわかってきてます。
ますます、どういうこっちゃ?
です。いやー、こういうのが面白いわ。テンポが速いのがいい。この作家の前の作品、『Taking of Annie Thorne』は実は全然ページターナーではなくて、ダラッダラで読むのに何か月もかかって、ようやく後半になって入り込めた、という作品でした(しかも正直、スティーヴン・キングのパクリだったしね・・・)が、この新作はずんずん読める。
いまいちだった前作がこれ。
邦訳バージョンはこちら。
『The Other People』、結末はまだわからないので、どういうどんでん返しがあるかが楽しみです。
この作家の処女作である『The Chalk Man』(邦題『白墨人形』)も面白かった。地面に描かれる白墨人形の絵。誰が描いたのか?美しい少女を殺したのは誰か?青白い顔をした新任教師は悪魔なのか?悪夢を見ているようなシーンもあるホラー要素も含みながら、スリラー/ミステリーで、最後に犯人がわかります。
ただね、この作家さんが敬愛してやまないホラーの大御所、スティーヴン・キング御大と何が違うかっていうと、キングは人の心の闇をものすごく深く描く人なんですよね。キングのホラーじゃない作品を読むとすごくそれがわかる。映画で有名な『スタンド・バイ・ミー』の原作は、4編の短編中編小説を集めたアンソロジー『恐怖の四季』の中の一遍『死体』(『スタンド・バイ・ミー』として邦訳が出ています)なのですが、これの真髄は少年の冒険ものとかひと夏の少年の体験話とかいうんじゃなくて、実はものすごい悲しみを湛える少年たちの物語。絶望に近い悲しみがある。映画には全然出ていない絶望感が小説にはある。そういう話をものすごくうまく書くんですよね、キングって人は。「人の心」が主題になっている話が多い。
C・J・チューダーさんにはそれがないかな。深みがない。でもまぁ、エンターテインメントとしては成功していると思います。
『恐怖の四季 春夏編』の『春:刑務所のリタ・ヘイワ―ス』は映画『ショーシャンクの空に』の原作です。これも素晴らしい。
とまぁ、読書の秋です。子どもらが学校行ってる間に、読み耽ろうと思います♪
そして今日は放課後にZさんのお友達が来るらしい・・・。騒がしくなるわーーー。
これは先日、Eくんが来た時の様子。バーチャルリアリティで盛り上がる人々。
道理でソファがぺっちゃんこになるわけです。