今日は観たもののレビューを。

 

 

2019年のイギリスドラマ、『After Life』を、2か月ほど前に観ました。コメディドラマでもあり、ヒューマンドラマでもある本作。

 

 

 

 

お話は、Ricky Gervais扮する主人公トニーの妻が癌で亡くなったところから始まります。遺されたのは愛犬のみ。トニーはもう人生なんてどうでもいいや、と自暴自棄になり、人にも優しくなんてしない、思いっきり嫌な奴になってやる、となります。

 

 

Ricky Gervais(リッキー・ジャーベイスと訳されているようですが、実際の英国式での発音はリッキー・ジュヴェイスに近い)はアメリカでは『The Office』などのコメディですでに有名ですね。動物愛護運動にも熱を入れている、熱くておもろいおっちゃんです。日本でも最近は良く知られてるようになってるのかな??

 

 

んで、自暴自棄なトニー。職場(新聞社)の同僚にも意地悪なことばっかり言うし、通りすがりのティーンエイジャーにも汚い言葉を吐き散らし、介護ホームに入っている父のところに行っても虚無感に包まれてじっとり座り込むばかり。

 

 

同僚にお笑いを見に誘われて行くも、「俺の妻は癌で死んだんだ」って発言して、周囲を引かせるトニー。

 

 

汚い家に帰れば亡くなった妻との思い出の動画をパソコンで観ることくらいしかできない。妻をからかって遊ぶ様子とか、幸せだった時の様子。この時だけはトニー、優しい笑顔になります。ってかこの人、妻にいたずらしすぎだわ・・・寝てるところにすごい音量のラッパ吹き鳴らしたり・・・まるでうちの誰かを見ているようだ。。。

 

 

トニーを心配する同僚や友人も次々と現れますが、だれもなかなかトニーの心を癒すことはできません。娼婦に家の掃除をさせてみたり、妻の墓の前でいつも出会うおばあちゃんとぼんやりと会話をしてみたり、いじめられている上司の息子を助けてみたりする時は、少しだけ彼も生きているような感じがします。そういう人たちと交わるときには、ブラックジョーク全開。これぞイギリスコメディ。

 

 

そして出会ったのは、父の介護をしている介護士のエマ。なんかこの人も辛気臭い感じで、「結婚なんかしないわよ面倒くさい」とかいうタイプ。ちょっとお疲れ気味のおばちゃんですが、なんか優しい。この人と話すようになり始めてから、少しずつトニーが変わっていきます。

 

 

いろんな人に出会い、トニーがどんなに嫌味を言っても意地悪をしても、みんな助けてくれようとする。変なことしたり空回りするばかりなんですが、それが少しずつトニーの石の心を砕いていく。

 

 

そしてドラマの終盤で出てくる、妻の病床からの夫へのメッセージビデオ。

 

 

「あなたがいつか、誰かいい人を見つけられたらいいなぁと思うわ」って・・・。

 

 

泣けたわぁ。じわじわ、涙がこみあげてきそうだと思ってふと横で見ている野獣さんをチラ見したら、、、、

 

 

すでに涙と鼻水両方垂らして号泣してました。ポーン

 

 

トニー、ついに変わります。職場の女性にちょっとほっこりするような優しいいたずらをしてみたり、そしてついにはみんなに「ありがとう」と言えます。

 

 

そして最後には、介護士エマをデートに誘います!デートっつっても、「パブでビール一杯飲もうぜ」なんですけどね。

 

 

この先きっと、トニーは妻の生前のようないい人に戻れる。そんな予感を残してのエンディングでした。

 

 

妻との思い出。この妻役の女性も本業はコメディアンなんですが、この人私すごい好きです。

 

 

私はね、6年間癌と闘っていた私の母が、うちの長男Zが生まれたすぐ後に亡くなってしまって、それ以来ずっとずっと母のことを考え続けてるんです。私にはもっと何かできたはずなんだ。どうして孫が大きくなるのを見ずに逝ってしまったのか。母の人生は幸せだったろうか。どうして母のような素晴らしい人が癌なんかになるのか。どうしてほんとうにたまにしか私の夢に出てきてくれないのか。

 

 

母は私の一番の親友でしたから、彼女がいなくなって、トニーと同じように人生なんてもうどうでもいいんじゃん?というふうにずっと思ってきたんです。

 

 

でもね。

 

 

私のような思いをしている人はたくさんいる。誰かと比べることなんてできない経験だけど、それでも、がんばっている人はたくさんいる。私のことを笑わせようとしてくれる夫がいる。笑わせようとしないのに笑わせてくれる息子らがいる。

 

 

やっとここ1年くらいで、「母がいない人生」を生き始めた気がします。「母がいない」事実はずっと私と一緒に生きていきます。でもそのほかにも、「野獣さんと息子たちと友達がいる」事実も同じように私と一緒に生きているわけです。そこにたどり着くまでに、5年以上かかった。その点、ドラマは展開早いよね(笑)。

 

 

After Life、そういう意味で自分とも少し重なって、いい話だったなー、って思ったです、はい。

 

 

野獣さんも、「今年最高のドラマだった。絶対来年のBAFTA賞、総ナメ確定!」って言ってますので(まだ6月だからまだまだ分からんぜ。気が早いよあーた)、機会があったら皆さん、ご覧になってみてくださいませー。

 

 

 

 

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