動物サーカスの憂鬱な日常

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「星を継ぐもの」


ベテラン
 経験を積んだ団員たちには、
 若者たちに何かを伝えようと一生懸命です。
 それは誇りでもありますが、 同時に憂いでもあるのです。
 若者の気持ちがわからないベテラン団員たちは
 時々思うのです。
 「嗚呼昔のほうがよかったな」って。
 ベテラン団員の気持ちのわからない若者たちは
 時々思うのです。
 「なんで昔風のやり方をやらなきゃいけないの?」

 でも今は未来の昔。
 今が輝く時代もやってくるに違いないのです。
 今わかりあえなくても一緒に笑いあえる日がやってくるのです。
 きっと、必ず。
  
 


「哀しみの連鎖」


かなしみ スルスルスルッっと今日も猫娘は梯子の上へ。
それはそれは見事な身のこなしです。
曲芸師としてはまだ経験が浅い彼女でしたが、
あっという間に文字どおり
誰よりもてっぺんに昇りつめていったのです。
梯子のてっぺんから
蚤のように見える観客を見下ろしながら
彼女はひとり思いました。
「あたしってこんなにちっぽけなんだよネ。
・・・何だかつまらないワ」
そうして若者は闇に消え曲芸師のバトンは
次の誰かに渡されてゆくのです。
赤と黒の連鎖はいつまで続いていくのでしょうか。


「マスカレード」


マスク 一見普通に見える玉乗りの娘でしたが、彼女は病に侵されていました。
人知れず毎晩悪夢にうなされていたのです。
そう、彼女は心の病にかかっていたのです。
それを知られたらサーカスに居ることが出来なくなると思った娘は
必死に病気を隠しながら芸を続けていたのです。
でもとうとう我慢の限界がやってきてしまいました。
彼女は舞台の上でわけのわからないことを大声で叫んでしまったのです。
ふりかかる容赦のない冷たい視線に耐え切れなくなった彼女。。
目覚めたのはサーカス団の医務室のベッドの上でした。
いつの間にか気絶してしまっていたようです。
彼女の心は絶望と病気への憎しみでいっぱいでした。
「なんで私だけなんで私だけなんで私だけ!
苦しいの苦しいの苦しいの苦しいの!!
みんなみんな病気になってしまえばいいのよっ!!!」
それは舞台で叫んでいたことと一字一句違わない
彼女の心の叫びでした。
サーカス団が人気のあった時代、
心の病がまだ理解されてなかった時代。
今では・・・今も??????

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