過去ログ、『気づきのベル』 - 瞑想習慣化の切り札となるか -では、瞑想を習慣化するための1つの方法を紹介しました。今回は、それによって成果を上げたYさんのケースをについてお話します。

 

Yさん(63歳)通院歴18年 診断名:神経症うつ病

 Yさんは、2か月に1回の通院。精神障害を有する娘さんを抱え、IT系の会社を退職した後も、介護施設の運転手として、多忙な日々を送っています。

Yさんには、平成29年4月に手動瞑想の導入をしていますが、習慣化することが出来ませんでした。

 

 令和元年3月、「新しい運転手(72歳)が来て、私が注意しても、無視して、言うとおり(施設の規則どおり)にやらない。もう一人の人は、『あの人には、言っても仕方がないよ。Yさん、カッカしないで』と言われるけれど、それでずっとイライラしている・・・」と。<自分の怒りに、「今、怒ったな」と、その場で気づけるようになると楽になりますよ。気づくだけでいいんですよ。アレ(手動瞑想の動作をしながら)やってます?車の待ち時間など利用して、1回ワンクールの14動作だけでもいいんですよ。思いついたときに、1日に何回かやれれば、それだけでもいいんです。まずは、コレ(手動瞑想の動作をしながら)が習慣になることです>と返すと。「やってません。あのプリント(気づきのベル)、もう一回いただけますか?」と神妙な表情をしていた。

 

 令和元年7月、「“気づきのベル”、あれいいですね。3月、先生に言われて、瞑想がやれるようになった。今までは、10分、15分、じっと座ってやらなきゃいけないと思って、なかなかやれなかったのが、信号待ちでもいいからと言ってもらって、気持ちが楽になった。今は思いついたらやるようにしている。」「私は、若い頃から、人に気持ちを求めてしまう。自分と同じようにやらせようとする。」「あの人(新人の運転手)にも、施設の決まりだからと、キツイ言い方をして、アプローチが悪かったかもしれない。今は、大きな問題がなければ、こっちからは言わないようにしている。そうしたら向こうも変わってきて、挨拶してきたり、譲ってくれたりするようにもなった。」「今までは、仕事場でイライラしているのに気づかなくて、そのまま持ち帰って、家の中でもイライラしていた。あれをやると、ひと呼吸おけるのがいいのかもしれない。」と、いろいろな気づき(自己洞察)を笑顔で語ってくれた。

 

 日常の忙しさに追われて、手動瞑想を習慣化することが難しい、Yさんのようなケースでは、“気づきベル”が有効です。真面目で几帳面な性格のYさんのような方は、「10分、15分、じっと座ってやらなきゃいけないと思って」というような先入観に囚われている場合があります。習慣化するに当たっては、続けることが負担にならないような工夫が必要です。<遊び感覚でいいですから、まずは、習うより慣れよです>と伝えることもあります。

 “気づきのベル”は、日常生活動作(湯船につかりながら、食事前、服薬前など)にくっつけてやると習慣化しやすいようです。例えワンクール14動作だけであったとしても、知らず知らずにやってしまっている、自分では気づかない“思考の流れ”がストップします。「いま、○○○・・・と考えていたな」と、自分の思考に気づくことができるようになります。このようなことを反復して繰り返していると、脳が、無意識下で自動的にそれをやってくれ(気づいて離れる)、 結果的に“心配や後悔”といった、反すうしやすい思考が減ってくるのではないかと考えています。