デスティニー 【第2章 9話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

☆速水綾

「・・・・んー・・・」

「・・・・ん」

私が声を出して起きると、隣で寝ていたらしい輝も起きた。

・・・・?なんでだろ・・・・

唇が湿っててあったかい・・・

・・・・・!


・・・なるほど♪

「輝、ありがとー・・・」

私が輝に抱きつくと、

「・・・・別に(笑)」

と照れたような笑いを浮かべて、輝が私の頭を撫でた。

「あとどんぐらい?」

「あー、あと1時間」

「マジですかー・・・・

 暇だなあ~・・・」

「ポッキーゲームでもしますか(笑)」

「マジですか!?やってみたかったんですっっ!!!!!!!!!!」

「何故に敬語(笑)」

「じゃあさじゃあさ、どこのカップルが一番長く耐えられたか競争しないっ!?」

「・・・ぶっっ!!!馬鹿かお前!!耐えられたってなんだよ!!」

「だから、早く真ん中まで行ってちゅーしたいって思っちゃって早くポッキー食べちゃったか、

 チョコがギリギリまで溶けるまで頑張って待ったか(笑)」

「んな恥ずかしいこと3列同時にやるのか・・・きついな」

「だって恥ずかしいって言っても、隣のシート誰もいないもん」

「え?・・・あ、うわマジ?今気付いた」

「平日だからかな?」

「そっか・・・今日平日か・・・てか、でもポッキーなんて・・・」

「えへへへっ、じゃーん!!」

私はショルダーバッグからポッキーを出した。

「うわっ持参とかおま・・ちょ(笑)」

「(笑)ねね、やろうよっっ!!!」

「・・・・仕方ねーな(笑)」


***


☆津川輝

珍しく乗り気でハイテンションでやる気で可愛すぎる(いつも可愛いけど)綾に付き合って、

ポッキーゲームをやることになった俺たち。

拓と優斗はもう起きていて、それぞれ彼氏彼女で談笑していた。

しかし俺たちの一連のやり取りは聞こえていたらしく、説明するまでもなくポッキーを1本

配って終わった。

「ふぉれひゃあ、ひょーひぃ・・・・ふひゃーひょ!」

「「「「「何言ってんのか分かんねえ!!!!!」」」」」

綾が言いだしっぺと言うことで号令をかけることになったのだが、ポッキーを咥えたまま言ったために何が何だか分かんなくなってしまった。

ちなみに、今のはたぶん「よーい、すたーと!」と言いたかったんだろうと思う。

「じゃ、俺が手え挙げるからそれでスタートだと思ってくれ」

俺が言うと、

「それがいいな・・・」

と、優斗が賛成したのでそういうことに。

周りを見回して皆がポッキーを咥えていることを確認し、

タイミングを見計らって手をさっと挙げた。

・・・・沈黙・・・・

たまにポッキーから滴る唾液を吸う音がするが、・・・

というか文章に表すととてつもなく変態気味な文章にな(ってしまう)る。

ポッキーをかまずに唾液を吸おうとすると、意外と真ん中に進んでしまう。

・・・・あれ、思ったより簡単に終わるんじゃ・・・

と、綾を上目で見ると、言いだしっぺにも関わらず顔を真っ赤にしていた。

喋ることもできないのでずっと観察していると、瞳が潤んでいて・・・・

なんだか、その・・・・

その・・・!!!

何というか・・・・


中学2年生の未熟な男子にはキツイアレだ。


「・・・・綾・・・・」

ポッキーを咥えたまま言っているのに、意外と声になって自分でもびっくりした。

綾は声を出さずに目で「ん?」と返した。

俺は奥歯でポッキーを噛んで、そのまま綾の唇に触れた。

「・・・・・ふぇっ!?」

「はい終了」

俺はよく噛み砕けなかったポッキーを食べながら言った。

ふと他の奴らを見ると、俺と同じ状況下に置かれたのか男子は耳まで赤くして俯いていた。

***

「う~っ、ポッキーゲーム楽しかったのにぃ~・・・」

まるで遊べなかった子供の様な声を出す綾。

「・・・・駄目。男子の理性保てねー」

「ふぇ?」

「いや何でもない」

「でも、寝てる時もさっきも・・・午前中だけで2回もキスしてもらったからいいかなぁ」

・・・・・こいつ、まだ眠気覚めてねーのか?

「・・・・大丈夫か綾?熱でもあんのか・・・・?」

「う~ん、かもねぇ・・・・なんか楽しみすぎて眠い・・・」

「まだ寝たりないのか(笑)

 お子ちゃまのお昼寝には15分がちょうどいいんだぞ」

「ひどーい・・・お子ちゃまじゃないもん」

「・・・お子ちゃま」

「もう!!」

「嘘、嘘・・・はは」

思わず白けた笑いが声に出てしまった。

「『はは』・・って・・・・。あ、もうすぐ着く!?」

「ん?」

窓の外を見ると、もう都会ではない、紅葉が見えてきていた。

「・・・・きれい・・・・」

時間を見ると、やはりもうすぐ到着駅の「箱根湯本」に到着する、3分前だった。

「お、おい!あと3分くらいで到着だから荷物まとめろ!」

今回一言も発しなかった拓はまだ寝ていた。

・・・・こいつ・・・・水瀬ふてくされてるし。

ってか、ポッキーゲームもやんなかったのか・・・・

どんだけ朝に弱いんだよ、こいつ。

綾はいそいそと荷物をまとめていた。

「寿々、機嫌悪いでしょう?」

綾が訊いてきた。

「うん。何で?」

「愚痴メールが、1時間45分だっけ?の間に100件超え」

「うっわマジで!?1分に2回くらい送信してたんじゃ・・・」

「うん。15分くらいで着拒したけど」

「え、着拒してんのに何でわかるんだ?」

「着拒解いたら一気に来た・・・」

綾が疲れた顔をして携帯を操作している。

綾の携帯は俺と違ってスマホだからよく分かりにくかったが、

確かに「消去」というところをタップし続けている。

「はぁ・・・めんどくさいっ!スキマ時間にやろう」

「だな。うん。もう駅だしな」

「ええええっ!?」

「嘘です」

綾は顔を赤くして、

「ばっ、ばかーっ・・・・」

と、ぽかぽかと俺を叩いた。

***


☆速水綾

「ふぃーっっ!!!!!!!はこねゆもとおおおおおっ!!!!!」

テンションMAXっっ!!!

風超強い!!

「テンションたけー・・・」

優斗が呆れ顔で私を見る。

「・・・・・だって、・・・・これが最後だしね」

私がぽそっと呟くと、

「何だって?」

と言ってきた。

「っ、あ・・・ううんっ、何でもないっ!」

「?」

優斗は首をかしげたが、すぐに亜衣のところに行ってしまった。

私も輝のところに行くと、輝が私を見降ろして、

「・・・・・スカート」

「へ?」

「スカート、・・・・風」

輝が起こったような顔で言う。

・・・・・・あっっ!!!


今日の私の格好は、軽めな白のワンピースにゆるめの薄いパーカーを羽織り、それにブーサンという軽めの格好だった。

一応下にショートパンツは履いているのだが・・・・

私があわててスカートを抑えると、

「・・・・・・他の男に見せてんじゃねーよ」

と、輝が低い声で言った。

その声は、事実かなり怖かった。

「・・・ご、ごめんなさい・・・」

私が少し涙目になると、

「・・・・・可愛いから許す(笑)」

と、私の頭を撫でた。


「輝――っ!早くいこう!」

亜衣が手招きしている。

「っ、おー!」

輝があわてて駆け出した。するといきなり止まって、私に手を出してきた。

「握っとけ」

ぶっきらぼうに言って、ぷいっと顔をそむける輝。

「・・・・・うんっ」

私はその手を強く、しっかりと握った。


真っ白いワンピースの様な、純白のように輝る純愛。

あと、2日・・・・。

***