スルガ銀行は25日、シェアハウス向けの不正融資をめぐり、東京地裁に民事調停を申し立てていたオーナー257人の融資債権を第三者に譲渡したと発表した。オーナーはシェアハウスの土地と建物を手放すことで借金が帳消しになった形で、銀行としては異例の対応といえる。
スルガ銀行は楽待新聞編集部の取材に対し、残る約1000人のオーナーについても「同様の措置を望む方に対しては対応していく」と説明した。
借金帳消しの可能性については楽待新聞が昨年12月に報じていた。
債務免除益も非課税
スルガ銀行によると、シェアハウス融資の対象は約1200人に上るが、融資の過程で行員がオーナーの資産状況改ざんや二重売買契約などの不正に関与していたことが発覚。実勢価格を大幅に上回る金額で購入したオーナーが多く、スルガ銀行はこれまでに元本の一部カットなどに応じてきた。今回はシェアハウス問題の早期解決に向け、さらに一歩踏み込んだ対応を取ったことになる。
今回対象となったのは被害弁護団に所属するオーナー257人で、対象物件は343棟、債権額は440億円。東京地裁の調停委員会に民事調停を申し立てており、スルガ銀行の損害賠償義務が認定された。スルガ銀行が実勢価格とローン残高の差額程度の「解決金」をオーナーに支払い、残った債権を入札で決めた第三者に譲渡、オーナーは物件を手放すことと引き換えに債務を解消する「代物弁済」を行ったとみられる。
今回のようなケースでは本来、オーナーには債務免除益として譲渡所得税が課されることになるが、スルガ銀行は「オーナーが税金を支払えなければ意味がないので、『解決金』という名目として非課税扱いになるという前提で今回の手続きを進めている」という。
残るオーナーの対応は
残る約1000人のオーナーについて、スルガ銀行は「同様の措置を望む方に対しては対応していく」と説明。もともとの販売価格が周辺相場と比較して著しく高いため、スルガ銀行側の損失が大きく膨らむ可能性もあるが、「シェアハウス融資の焦げ付きに備えて多額の貸倒引当金を積んでおり、保全率は92%。仮に1000人全員に対応したとしても経営への影響は限定的と考えられる」とした。
スルガ銀行はシェアハウスと同じように一棟物件にも不正融資を行っていたとみられているが、今回の救済策では一棟物件のオーナーは対象になっていない。スルガ銀行は「シェアハウスに関してはマーケットが未成熟な中でリスクを十分に分析せず融資したために高値掴みをさせてしまった面があるが、一棟物件に関しては状況が違うと認識している。一棟物件のオーナーに関しては、リスケや金利交渉なども含めて窓口で真摯に対応していきたいと考えている」とした。
スルガ銀行は中期経営計画で2022年度の新規ローン実行額目標を1900億円に設定しているが、うち1200億円が個人の投資用不動産ローンと、引き続き収益の柱として位置付けている。今後の融資姿勢については「昨年5月から投資用不動産のチームを作って融資を再開し、賃料分析のシステム導入や対象物件への同行など審査フローの見直しに取り組んできた。客観的な指標を踏まえて、適正な収益性があれば引き続き融資していくスタンスは今後も変わらない」とした。
2020.3.26 楽待 様記事より引用