少しだけ更新をお休みします。
今の今までも散々不定期で休みがちだったんですが、
今月いっぱい更新はしないと思います。
5月になったらまた少しずつ再開していく方向で。
多分2本くらいは書きためられるかも、だし。
少しお勉強期間ください。
ってかヒバリ不足で困ります…。
獄ハルのシルバーリングはジューンブライドに合わせて
うpできるようにがんばります。
少しだけ更新をお休みします。
今の今までも散々不定期で休みがちだったんですが、
今月いっぱい更新はしないと思います。
5月になったらまた少しずつ再開していく方向で。
多分2本くらいは書きためられるかも、だし。
少しお勉強期間ください。
ってかヒバリ不足で困ります…。
獄ハルのシルバーリングはジューンブライドに合わせて
うpできるようにがんばります。
「チェリー・パイ、か…」
「…あ?」
「新商品ですって。チェリー・パイ。おいしそうじゃないですか?」
ハルが興味津々な目で指差したガラスケースの中には、
目を背けたくなるほど真っ赤なチェリーが
シロップ漬けにされてパイの上にゴロゴロ転がっている。
パイはこの店の自慢。アップル・パイだけじゃ客に飽きられたか。
チェリーパイの横には先月出たばかりのミックスベリー・パイ。
ラズベリーとクランベリー、ブルーベリーが溢れんばかりに
パイの上に盛られている。
…それを見ただけで先月の悪夢が蘇る。
ハルが「毎日でも食べたいくらいデリシャスなんです!」と
毎日のように差し入れに来た。
「食べてみたいなぁ。ミックスベリーもおいしかったし、
チェリー・パイも絶対デリシャスですよねー」
ハルは目をキラキラさせながらガラスケースを眺めている。
こうも一つのケーキに夢中になってるのは珍しい。
「…どうだろうな」
「獄寺さんはいつものでいいですか? それとも同じのにします?」
「…同じのにする」
「わかりました。…あ、紅茶の葉っぱがなくなったんでしたっけ」
「ああ、そういや…俺が買ってきてやるよ。外で待ってろ」
「え? いいですよ、ハルが行きますよ」
「たまには俺の趣味で紅茶飲ませろ」
「はひ? …なんだ、それなら早く言えばいいのに…。
わかりました、お願いしますね」
すぐ近くに紅茶専門店があるのは知っている。
この街に越してきた時に見つけた。なかなかの品揃えを誇る。
いるだけで紅茶の香りに包まれ、リラックスできる。
自分にとっては最高のアロマ・サロンだ。
…そこに一度ハルを連れて行ったのは間違いだった。
ケーキと一緒に次々と紅茶を買い込んでくる。
自分の趣味で買い込んでくるもんだから、
気に入れば持ち帰るし、気に入らなければ置いていく。
もしくは笹川京子や沢田綱吉の手に渡ることもある。
ここ最近は選び方を覚えたようで、持ち帰ることが増えた。
…おかげで紅茶の味にはうるさくなった。
自分で買うのはひさしぶりかもしれない。
最近店に寄ると、紅茶の香りを楽しんだ後、
店の手作りの紅茶クッキーを買うだけ。
どうせハルが買ってくるし、なくなったらコーヒーで
済ませればいい。
なくなったのは先日ハルが来た時に葉の入った缶を
落としてしまい、半分以上を捨ててしまったため。
…となりにいたハルのシャンプーに香りに欲情し、
手に汗が滲み、缶が滑り落ちた、などと口が裂けても言えない。
「アレは前に飲んだ…こっちはアホ女が持って帰ったし…
コレは確か…十代目のお母様にお持ちして、出してもらったな。
コイツは美味かったけど…アイツの好みじゃないよな…」
銘柄の書かれたプレートを一つ一つ確認する。
「んー…」
「あら、紅茶をお買い上げになるのはひさしぶりじゃない?」
…隼人の苦手な人種が現れた。
ここの店長の一人娘だそうで、いわゆる大人の女性だ。
姉がもう少し年を重ねればこうなるんだろうな、というのが
第一印象だった。…苦手な理由の一つだ。
隼人がいつも買う紅茶クッキーはこの人の手作りだというのを
つい最近知った。
「…たまにはいいじゃないッスか」
「あの子はどうしたの? 一緒じゃないの?」
「ケーキ屋にいます」
「ああ、そこの? ふぅん…紅茶、誰が飲むの? 二人で?」
「まぁ…そうッスね」
女性はうつむいた。少し考えて、ちらりと隼人を見る。
「…今日のケーキは何かしら?」
「は? えっと…チェリー・パイです…新商品らし…」
「じゃあ、これね」
『チェリー・パイ』の単語一つで迷いもなく一つの缶を取り出した。
「まだ試してないでしょ。レッドカラントよ。ベリーの種類なの。
すっぱめなんだけど、いい感じに茶葉をブレンドしてあるから
飲みやすくなってるわ」
「…はぁ」
「なぁに? 悩んでたんじゃないの?」
「まあ…そうなんスけどね」
「ならいいじゃない。クッキーつけてあげるわよ」
…ここにはずっと通い続けると思う。
そして、この人にはいつまでも子供扱いされ続けるのだろう。
店を出ると、ハルがいた。手には通学カバンと一緒に、
ケーキ屋の包み。
「獄寺さん、遅いですよー!」
「紅茶選びに時間がかかっただけだ」
「はひ? そうなんですか? 獄寺さん、そんなに紅茶好きでした?」
「この店見つけてからは、かなり」
ハルは少しうつむき、上目遣いで
「…おねーさん目当てじゃないでしょうね?」
「はぁぁああ?」
「おねーさん、セクシー・ダイナマイツじゃないですか。
おねーさん目当ての人、多いらしいんですよ」
「俺はハッキリ言って、あの人は姉貴を思い出すから苦手だ」
「…なら、いいです。早く帰りましょ。チェリー・パイ、
楽しみですー♪」
困った顔をしていたのが急にご機嫌な顔になった。
「…忙しいオンナだな」
「はひ? 別に、予定はないですよー?」
「なんでもねーよ!」
「おまえ、最近ケーキ食べる頻度増えてねーか?」
「…ぅうっ…気にしないようにしてたのに…」
「太っただろ」
「はう! わ、わかるんですか? やっぱり…」
「ハッタリ」
「獄寺さぁん!」
「…いいんじゃねーの…おまえにとって甘いモンは
必要経費だろ…」
「たまにはいいこと言うじゃないですか!」
「別に、ハルがハルであれば俺はなんだって…」
「…え?」
レッドカラントの紅茶は、甘酸っぱい香りがした。
Fin★
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
なんか、書きたいことの半分も書けてない気がしますが(汗
(そして同じようなことを骸凪でも書いてた件^^←)
じゃあこれは前半ということで、また後半書きます…。
相変わらず〆が決まらないSSでホントすみません…。
紅茶専門店のおねーさんは、また出したいかも♪
「SHOT!」
コロネロのライフルが火を噴き、
飛んでいた鳥が力なく地面に落ちていくのが見えた。
「ちょうどいい辺りに落ちたな。すぐ見つけるだろ」
鳥が落ちたすぐ近くにラル・ミルチが待機しているはずだ。
コロネロも鳥の落ちたところへ向かって走り出した。
林に入って少し歩くとラル・ミルチがしゃがみこんでいる姿が見えた。
「どうだ? 一発で仕留めてやったぜ、コラ!」
「…60点…といったところだな」
「な?!」
ラル・ミルチは落ちていた鳥の首を掴んでコロネロに突き出す。
鳥は暴れている。…死んではいない。
「一発で仕留めてはいないぜ。落ちたのは羽を撃ち抜かれたからだ。
コイツにはまだ息がある。もし弾が残り一発だったらどうする?」
「そ、それは…」
困惑するコロネロにため息をつき、ラル・ミルチはポケットから
ナイフを取り出し、鳥の腹に突き刺した。
「戦場でも同じことだ。正確に、一発で敵を仕留めろ。
コイツはこの程度で死ぬからまだいい。人間相手じゃこうは行かない
ことくらいはわかっているだろう?」
「…ああ」
コロネロは奪うように彼女の手の中で死んだ鳥を掴み取った。
「…火を熾しておけ。水を取ってくる」
「…わかった…」
ラル・ミルチはちらりとコロネロを見ると、無言で横をすり抜けていく。
「クッソ…! まだライフルの腕も追いつけないのかよ、コラ!」
差しっ放しになっていたナイフの柄を持ち、大木に刺す。
「…むくれててもしょうがねえ…まずは命令を聞くとするか」
枯れ枝を拾い集めていると、いろんな考えが頭の中で駆け巡り、
拾い集めた場所からどんどん離れていることに気がついた。
我に返ったのは、水の流れる音が聞こえてきたから。
顔を上げると、木々の間から川が見える。
「やべ…川辺まで来ちまったか…」
足元に落ちている枝を一本拾い上げた。
この辺になると、枝も水分を含み始める。
「枯れ枝も満足に集められないのか?!」
そんな怒鳴り声が、いもしないのに聞こえてくる。
さっき鳥に触れた時に手に血がついたのを思い出した。
「洗って…少し飲んでいくか…」
少し戻り、足で枯れ草を集める。その上に枯れ枝を乗せた。
「早くしねーと…ラル、戻ってきちまうな…」
林を抜け、川辺まで歩く。手についた血を洗い流す。
…あまりいい気はしない。
ついでに顔も洗おうと思い…止まった。
「…ラル…?」
少し離れた場所にラル・ミルチの裸体があった。
こちらに背を向け、腰まで浸かっている。
それでも傾き始めた陽の光で、その肌は透き通るような白さを
コロネロに魅せていた。
「……!!!」
コロネロは立ち上がり、駆け出した。
「なんで…! あんな無防備な…!」
矛盾だと思った。
あの裸体の女性はついさっき飛べない鳥にナイフを突き刺した。
常に銃を持ち、敵を倒すことに躊躇しない。
その女性は白い肌と抜群のスタイルを併せ持つ。
…矛盾だと思った。卑怯だとすら思えた。
「悪いな、遅れた」
コロネロは我に返った。
振り返ると、手に水筒を持ったラル・ミルチが立っていた。
「戻る途中でオレたち以外の足跡を見つけた。
注意しておく必要があるな」
「そ、そうか…」
「どうした?」
炎に照らされた彼女の顔を直視できない。
「…なんでもない…」
「おかしなヤツだな。水でも飲んでろ」
ラル・ミルチはコロネロに水筒を投げると、
コロネロが大木に突き刺した鳥からナイフを引き抜いた。
「…コロネロ…」
「ん?」
「ナイフはあまり使いたくないな。血の匂いが取れない」
はっと顔を上げると、ラル・ミルチが自分の手に目を落としている。
手の中には血塗られたナイフ。
足元には鳥の死骸。大木に血。
また、矛盾だ…。
「…おまえには使ってほしくないな…」
「なぜだ?」
「あんなに肌はキレイなのに…」
ドサッ…。
ラル・ミルチの手からナイフが落ちた。
「…あ!」
「…見てたのか…」
「いや、その…わざとじゃないぜ、コラ!」
「言うと思った」
「おまえ…! まさか、気づいてたんじゃ…!」
「逃げる時の配慮が足りないな。あんなんじゃ敵にすぐ見つかる」
ラル・ミルチがしてやったりの顔で笑ってみせた。
「お、まえなー…」
コロネロは肩を落とした。
…これが、経験の差だろうか。
後ろ姿を見ただけで狼狽した自分に対し、彼女の落ち着いた対処。
「こういう場所に身を置いている。血の匂いくらい慣れた。
…でも…」
「でも?」
顔を上げたコロネロの目に映ったのは、少し震えた細い肩。
「たまに血の匂いが無性にイヤになる。普段は気にならないのに…
生まれたままの姿になった時、ああ、血の匂いがするな、と…」
コロネロは立ち上がり、体についた枯れ葉を落とす。
ラル・ミルチの身体を抱きしめる。
「ちょ…!」
「ラルの香りしかしないぜ? 血の匂いなんて、しない」
「離せ…! コロネロ!」
「じゃあ、もうそういうこと言うな」
「…!」
「オレは…おまえにはこんなトコにいてほしくないんだぜ?
でも、一緒にいたい。矛盾したこと言ってるのはわかってる。
おまえがここにいたから俺たちは出会ったんだしな」
「コロネロ…」
ザザザザザッ!
二人は離れた。
音と共に忍び寄るのは、味方ではない気配。
コロネロは木に立てかけておいたライフルを、
ラル・ミルチは腰から銃を取り出した。
二人は背中を合わせ、木々の間を見つめる。
…まだ敵の姿は見えない。
「なんだよ、これからって時に…」
「冗談が言えるなら余裕だな。…少し数が多そうだ」
「まかせとけ、コラ!」
「…見えた。こちらから一気に仕掛けるぞ。
さっき言ったことを忘れるな。一発で確実に仕留めろ」
「わかってるって! これからもよろしく頼むぜ、教官!」
「フォローはしないぞ。…続きは敵を殲滅してからだ」
「…マジかよ。手っ取り早く済ませてやるぜ! コラ!」
「…調子のいいヤツだ。ペースが乱される。…いつものことだがな…
行くぞ!」
Fin★
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
例のシーンをコロネロで書いてみようかなぁと思いまして。
あー、ちょっと二人ラブラブ過ぎちゃったカナー…とは思います。
まだまだ勉強不足なんだな、とも思ってます。…石を投げないで><
3月は全然うpできませんでした。・゚・(ノ∀`)・゚・。
4月はもっとがんばりますー…。
「毎日会いたいって思っちゃダメですか?」
電話をかけるタイミングがわからない。
こっちはいつでもいいけど、相手は自分とは違う。
性別が違う。性格が違う。生活が違う。
電話してウザがられるのだけはイヤだ。
だったら最初からかけない。かかってくるのを待つ。
…それがどれほどもどかしいことか。
「…この英文、わかんないです…」
「おまえ、いつもワケわからない単語並べるくせに
英語できねーのかよ…」
「単語と文章じゃ全然違いますよ!」
「…そういう態度するワケ?」
「…訳、教えてください…」
「じゃあしばらく会えないですね…
あ、電話はいいですよね、長くならなければいいんだし」
「俺は勉強なんてしなくてもいいんだけどよ…」
「追試になって一緒に出かけられなくなる方がイヤです!」
「…テスト終わったらどこ行きたいんだよ…」
「あったかくなってきましたからね! お弁当持って遊園地!」
「…追試じゃなければな…」
「わ、わかってますよ! でも、約束ですからね? しばらく会えなくても
約束のこと思い出して、ハル、がんばりますから!」
電話を切った後に残るこの虚しさはなんだろう。
電話だから。
…わかりきっている。
電話しても満たされない。欲望は増すばかり。
心から溢れ出して、全身から溢れ出して、
見られたくないものに変わっていくようだ。
会って、話したい。手をつなぎたい。
抱きしめたい。
そんなワガママ、どうやって解消すればいい?
口に出して言うなんてことできない。
伝えても重荷になるだけじゃないか?
ずっと会えないわけじゃない。
すぐに会えるのに、会えないもどかしさ。
苦しくて。会いたくて。
「…俺、カッコわりぃ…」
校門を出ると、ハルがいた。
テスト期間はまだ終わっていないのに。
会う約束をしているのは3日後。
なのにハルは会いに来た。
自分に気がつくと、ハルは弱々しい笑顔で微笑んだ。
いつもの元気な笑顔じゃない。
会いに来てくれた事よりもそっちが気になって仕方がない。
「おまえ…なんで…」
「ごめんなさい…」
「…どうした?」
「あの…どうしても解けない答えがあって…」
「ふーん…別にかまいやしねえよ。なんだ?」
「毎日会いたいって思っちゃダメですか?」
「え?」
「ハル、獄寺さんと毎日会って、顔見て話したいんです」
「おまえ…何を突然…」
「だってガマンできなかったんですもん!」
涙を流すハルの腕を引っ張り、とりあえず公園まで連れてきた。
「…落ち着いたか?」
「…ハイ」
ハルはハンカチを握り締めてうなずいた。
…涙はようやく止まった。目はまだ真っ赤に腫れている。
隼人はハルの頭をそっと撫でた。
「…あのな、アホ女」
「…ハイ」
「俺だって毎日会いたいんだよ」
「…ハイ」
「…今はまだ無理だけどよ。なりたくても…
俺たち、すぐには大人になれないんだから…」
「…ハイ」
「だから、もう少しガマンしろ」
「…獄寺さん、キスするの好きですか?」
「おまえなぁあああああぁあ!」
「…答えてください…!」
「…俺は、こっちの方が好き」
春風が吹く公園の中で、ハルを抱きしめた。
今すぐ大人になれなくても、これからも一緒にいる。
「…おまえは?」
「…ハルも、こっちの方が好きです」
「いくらでも、こうしてやるから。今はガマンしろ」
Fin★
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
モチーフは宇多田ヒカル嬢の「Addicted To You」でお送りいたしました。
コレ、獄ハルソングだなーって思います。
ヒッキーの若い頃の歌詞は復活にピッタリな気がします。
…いつもジャニソングじゃ芸がないと思うんで。
…次こそ…チェリーパイだと思います…。
新OP見たらコロラル熱が高まってキ・タ・YO!
2月、2週間で6本は、SSとは言えブランク有の物書きにとって
ものすごくしんどかったので、3月はのんびりしたいと思います。
とりあえず、更新予定としては…
獄ハル→「シルバーリング」少し長めに書ければいいな、と。
時間かけて書きたいので、3月中うp目指します。
「愛と勇気とチェリーパイ」モチーフもがんばります。
多分これが一番最初にうpできるかと…。
骸凪→もーとりあえず1本書きたいです。
「I Want Somebody」をちゃんと書き直したいところですが、
それは改めて考えます。
ネタが思い浮かばないので地味に勉強中です…il||li_| ̄|○il||li
コロラル→こちらもネタ考え中です。・゚・(ノ∀`)・゚・。
骸凪よりは先にうpできるかもーだけど…。
モチーフも思い浮かばないので困ってます…。
いつからか、いられなくなった関係。
『友達』だと思っている。思っていたのに。
いつからだろう。二人きりで会うようになったのは。
ケーキ屋へ寄り道したこともある。
テスト前に図書館で勉強したこともある。
「付き合って」と言われて服屋や雑貨屋に
立ち寄ったこともある。
「一人暮らしなんだから」と言われてスーパーに行き、
あれこれ言われたこともある。
前は周りに必ず誰かがいた。
それなのに、最近は二人でいることが多い気がする。
この間なんて、ついには
「顔色悪いですよ? ちゃんと食べてるんですか?!
こうなったらハルが作ってあげます!」
などと言い出して、強引に部屋に上がり込んできた。
タバコを吸いながら雑誌を読み、キッチンをチラチラ様子見た。
…そんな自分が情けなくなってくる。
じっとしてるのが耐えられなくなり、後ろ姿に声をかける。
「…手伝うか?」
「もうすぐできますからいいですよー」
…自分にもう少し勇気があれば。
その後ろ姿を抱きしめたのに。
そして、今日。
おもしろくない授業を聞き流しながらケータイをいじる。
ブルルと震えてメールが受信された。
すぐに受信画面を映し出す。…ハルからだ。
思わず周囲を確認するが、周りは一応授業を聞いているようだ。
震えた音に気がついた者はいない。
ほっとして本文を読む。
『今日、家に帰ったら獄寺さんの部屋に行きますね。
昨夜五目ご飯と肉じゃが作りすぎちゃったんです。
今夜の夕飯に食べてくださいね』
…またしても唐突な話だ。
面倒くさいので返事はしなかった。
どうせ来るなと言っても来るに決まっている。
わかっているはずだ。返事をしないということは、
好きにしろ、と言っていることと同じだということを…。
ハルの訪問は早かった。
隼人が帰宅して1時間も経たないうちにインターホンが鳴った。
「獄寺さーん! 夕飯ですよー!」
「わかった。わかったから大声出すんじゃねーよ…」
ここ最近の考え事を思い出すと、ハルの顔がまともに見れない。
そっぽ向いて部屋の中に戻る。
ハルは大して気にした様子もなく、後ろからついてくる。
「ごめんなさい…あ、これです。ピンクの蓋がご飯で、
青い方が肉じゃがですよ」
ハルは紙袋の中から二つの容器を取り出した。
言いながらガラスのテーブルの上にそっと置く。
「ん…わかった。わりぃな」
「全然いいですよ。あげても残ってるんですもん。
あ、容器は次にここに来た時に持って帰りますから。
洗っておいてくださいね」
『次』という言葉がハルの口から出てきて、隼人は思わず
顔を赤らめた。
「獄寺さん? もしかして風邪でもひきました?」
「ぁあ?!」
「えと…顔が赤いですよ?」
ハルは無防備な顔で隼人の額に触れようとした。
刹那、隼人はその手を手の甲で振り払った。
「…あ…」
「…そんな簡単に俺に触れようとすんな…」
『自分がどうなっちまうかわかんねー』…言いかけて、やめた。
しゅんとしたハルの顔が視界の隅に映る。
「…悪い」
「いいんです…ごめんなさい。ハル、帰りますね」
通学バッグと空の紙袋を持ち、ハルは立ち上がった。
隼人は動けず、ただ前髪をかき上げた。
リビングを出ようとして、ハルが立ち止まる。
止まったのは見えた。そして、足がゆっくりこちらを向くのも。
「あの…獄寺さん…」
「…ん…?」
隼人は顔を上げた。
ハルは隼人の顔を見ようとしない。顔をそむけたまま
「ハルがここに来るの、迷惑ですか?」
「そんなんじゃ、ない…」
隼人もハルから顔をそむけた。
来てほしい。ずっとここにいてほしい。
それが…どうして自分には言えない…?
「…好きなんです、この部屋…獄寺さんの生活のにおいがして…
学校も違うからわからないでしょ。だから…ここに来たいんです」
「ハル…」
どうして言えない。何も言えない。
彼女を安心させるたったひとことはわかってるはずなのに。
どうしてこんな時に限って勇気が出ない…。
「…ハル、獄寺さんのこと好きですから。…また来ますね」
ハルは駆け出す。逃げ出すように。その先の答えから逃げ出すように。
「待て! ハル!」
隼人は立ち上がり、出て行こうとするハルの震える腕を掴んだ。
振り返ったハルの目から涙が零れ落ちる。
「ごめん…! 言わせて…俺がすぐに言ってやれなくて…!」
「だって…獄寺さん…何も言ってくれないから…ハル…
すっごい不安で…!」
「ごめん…!」
掴んだ腕を引き、隼人は両手でハルを抱きしめる。
「…もっと早く…こうしてやればよかったんだ…」
「獄寺さん~…!」
ハルの手が隼人の背中にまわされ、シャツを握り締める。
握り締められれば締められるほど、隼人はハルを強く抱きしめる。
「…おまえがいくらアホ女でも、わかるよな?」
ハルは隼人の腕の中で顔を上げる。…今日この部屋に来て、
初めて見た笑顔。…安心した。安心させたことに、安心した。
「言葉より行動…不器用な獄寺さんらしいですね」
「しょーがねーだろ…」
「でも、嬉しいですよ。…もう少しこのままでいいですか?」
「…いいよ。いくらでもこうしててやる。この腕、二度とほどきゃしねーよ」
Fin★
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
モチーフはKinKi Kidsの「ずっと抱きしめたい」でお送りしました。
…すいませんすいません。「シルバーリング」まだ書けません…。
ってか骸凪に大苦戦だったので、じっくり書けなくて…。
「シルバーリング」は時間かけて書きたいので、後回しです。
…でもこれも、時間ない中で書いたからちょっと雑だな…。
多分、後で書き直し…ってか、ちょっと手を加えると思います。
3/1 少々手を加えました。…これでなんとか満足です。
出会いはほんの偶然。本当に偶然。
一度きりの偶然が、二人の世界を変えた。
夢を渡る。彷徨う。
いつも同じだと思っていた夢の中で、
その日だけは違う感覚を覚えた。
夢を泳ぐ。違和感の中。
「…しい…」
無音のはずの空間なのに弱々しい声が
耳に入ってきた。
「これは…」
その中で見つけた、小さな白い花。
このまま見過ごしたら、死ぬ。
それだけはわかった。
だけど、なぜ。
そこで声をかけ、手を差し出したかわからなかった。
ただ、彼女に、光を見た。未来への道を見た。
「私…死ぬんだ…」
かすれた小さな声に衝動に駆られた。
自分は、彼女を待っていた。
守らなければならない。救い出さなければならない。
これは、運命だったと。
今日この日に巡り逢ったのは運命と奇跡。
逃したら、もう二度と逢えない。
「クフフフ…散歩はしてみるものですね」
この子と共に、未来へと歩こう。
二人で未来を紡ごう。
「おいで…凪」
「…はい、骸様…」
Fin★
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
もう…本当にごめんなさいって感じです。
骸凪、こんなにむずかしいなんて思ってもみなかった。
これからもっと勉強します。
嵐の「I Want Somebady」をモチーフにしてますが、
なんか書きたいことの半分も書けてない…。
もうちょっとお勉強してから骸凪書きます…。
それまでは獄ハル量産していきますw
またひとつ、取りたくもないものを手に入れた。
どこまで生き続ける。どこまで成長し続ける。
…この身体は、いつまで育てば気が済むのだろうか。
この日が来るたびに思い出す。
あの時の、あの笑顔を。あの声を。
…あの言葉を、思い出す。
「もうすぐ誕生日なんだってな」
「…それがどうした」
「なんだよ、もう年を取るのがイヤになったか」
「そんなことは言ってない! 確かにもうすぐ2月20日、
オレの誕生日だ。それがどうしたと言っている!」
鬼教官にジロリと睨まれ、コロネロは一瞬たじろいだが、
グッとこらえて聞きたいことを尋ねた。
「…なんか、欲しいもんとかねえのかよ、コラ」
「おまえが真面目に訓練してくれればそれでいい」
「…かわいくねえの…」
「褒め言葉として受け取っておく。それよりおまえ、
ライフルのメンテナンスは済んでるのか?」
「あ? ああ、とっくにな。そこまでナメられてたまるかよ、
コラ!」
ラルは鼻で笑い飛ばし、コロネロに背を向けた。
「それなら今日はここまでにしておいてやる。
明日は早朝5時に集合、遅刻は厳禁、以上だ」
そう言い残すと宿舎に向かって歩き出した。
コロネロはぎょっとしてその背中を呼び止める。
「おい! 待てよコラ!」
「…伝令はもうないぞ」
「そうじゃなくて! 質問に答えてねーぞコラ!」
「なんの話だ」
「…わかってて言ってやがんな、コラ」
ラルはため息をついた。
…何か言わなければ延々と続きそうだ。
「オレには必要のない答えだからだ」
「オレには必要だ!」
コロネロは一歩も譲らない。肩で大きく息をしている。
それでもラルは顔色一つ変えない。
…いつもと変わらない態度、顔色、姿勢…。
そんな姿を見るたびに、不安が一つ、また一つ込み上げる。
「…欲しいものなんて、ない。何も…」
「…じゃあ、何を差し出しても受け取ってくれるんだな?」
「え?」
その時、初めて見た気がする。ほんの一瞬のスキを。
訓練の中でも実戦の中でも。
スキを見せようとしない彼女のスキを初めて見た気がする。
一瞬表情を変えたが、すぐにいつもの彼女に戻った。
「くだらないものでなければな。その場で考える」
「…わかった。じゃあ、また明日な」
「ああ」
ラルはスタスタと歩き出した。迷いのない背中と足音。
「…あの背中が崩れる時が来たら…どうするんだろうな」
月明かりで腕時計を見た。
デジタル表示は「23:58」を映し出している。
その場でじっと佇み、耳を澄ます。
…砂を踏む足音が聞こえた。ちらりとそちらを見ると、
見慣れた弟子が小走りでやってきた。いつもの迷彩服ではなく、
タンクトップにジーンズのラフな格好。
ラルもいつもの教官用の制服ではなく、
Tシャツにショートパンツ。こんな時間なのだから当然だ。
「待たせたな、コラ」
「待ってはいない…こんな時間にこんな場所に呼び出すとは
何事だ。明日も朝は早い。早く戻らせろ」
「まぁ少し付き合えって。…時間、見えるか?」
ラルは再び腕時計に目を落とした。
「23:59」だった数字が「0:00」の表示になった。
「今ちょうど0時になったところだ」
「よし! Buon compleanno!」
言葉の意味はもちろん理解できるが、
ラルは開いた口がふさがらなかった。
「…は?」
「日付、変わっただろ? おめでとう、ラル」
「…それを言うためだけに呼び出したのか?」
「そうだぜ?」
ラルはカッとなり、ショートパンツに仕込ませておいた
ハンドガンをコロネロに向かった構えた。
「貴様! 打ち抜かれたいのか?!」
「待て! これならおまえが迷惑にならないで、
喜んでもらえると思ったから…!」
「こんな時間に呼び出される事のどこが迷惑にならない?!」
「…やっぱりダメか?」
…コイツの考えてることはよくわからない。
ラルはハンドガンをショートパンツに戻した。
「…オレは昔からここにいる。祝ってもらった覚えは、ない」
「知ってる。だから、俺が祝ってやりたかったんだ」
「…ありがとう」
素直に、その言葉が出た。
自分でも不思議と。そして、自然に。
「言えるじゃねーかコラ!」
「…自分がこの世に生を受けた日を祝ってもらったんだ。
礼は言わねばなるまい」
「オレは、そんなラルが好きだぜ?」
…どこまで本気で捉えればいい? どこまで信じていい?
…その言葉に…どこまで正直に応えればいい?
「オレも、こんなバカなプレゼントをするおまえが好きだ」
月明かりに映し出される、コロネロの笑顔。
その笑顔からこぼれる祝いの言葉。
「Buon compleanno! ラル・ミルチ!」
あの時のあの笑顔と言葉…。
毎年この日が来ると必ず脳裏に蘇る。
辛くなるだけだから、また会いたくなるだけだから…
思い出さないようにしてるのに。
それでも自分の心はあの笑顔を引っ張り出してくる。
他の誰に言われなくても、ただ一人に言われればよかった。
あの時のその心境を…心だけはごまかせない。
今日も、昔の思い出にすがりつく。
今日だけ、今日だけは…許してほしい。
他に何もいらない。これからも何も望まない。
ただ、今日というこの日だけは…
あの言葉を思い出すことを、これからも許してほしい。
「Buon compleanno! ラル・ミルチ!」
Fin★
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ついに書いたーッッ!って感じです。
少し遅めのラルBDネタ。
ホントはBDにうpしてあげたかったけど…!許して><
ってかこんなんでいいんでしょうかって感じなんですけど!
ちゃんとコロラル書けてるのか?!
ホントにWJのイキオイで書きてえ!って思ったから
ホントにイキオイなんだけど!
これからもちまちま書いていこうと思います~。
strennaは一応イタリア語で「プレゼント」なんだけど、
イタリア語で「プレゼント」っていろいろあるんですよね…。
だから誕生日に贈るプレゼントがこの単語であってるかは
自信ナッシング。・゚・(ノ∀`)・゚・。
…さ、次は骸クロ書かなくちゃ…。
雪が降る。
しんしんしんしん。
雪が降る。
…人の気持ちも、雪のように静かに積もりゆくモノ。
「今回の雪は全然止みませんねー…昨夜から降りっぱなし」
「たまにはアリじゃね? こうも降り続けるのも
この辺じゃ珍しいじゃねーか」
「そうですね。雪国みたいに降りっぱなしじゃないですもんね。
いつかは必ず止んじゃうんだし…今だけですよね」
「…ま、その雪のせいで誰かさんに振り回されてるのは
こっちだけど」
「だ! だからごめんなさいって言ってるじゃないですか!
学校がいけないんですよ! こんな日くらいスニーカーで
登校させてくれてもいいのに…」
新しくオープンした喫茶店でケーキセットが半額になる。
それが明後日までだから付き合ってほしいと
昨夜電話で突然言われた。
「笹川と行けばいいじゃねえか」
「京子ちゃん、委員会が抜け出せないんです…」
電話口で残念そうにつぶやくハルに隼人はOKを出した。
電話を切った後から雪は降り出した。
朝になっても雪が止まないから喫茶店は
明日にしようと今朝電話で切り出したのは隼人だが、
ハルはどうしても行くと言い張った。
そして、待ち合わせした放課後。
隼人が緑中まで迎えに行くと、隼人に気がついて
校門から飛び出したハルがものの見事に転んだ。
雪がクッションになってくれたおかげで
腰などに異常はないが、転んだ拍子に足を挫いたらしい。
腕を貸して、ようやく辿り着いた喫茶店の中。
お目当てのケーキセットを頼んで、ほっと息をついた。
窓の外は、まだ雪が降り続いている。
ハルは足を気にしている。
「…まだ痛むか?」
「え? あ、大丈夫ですよ。全然大したことないですから」
えへへと笑うハルに隼人はぷいと顔をそむける。
「…ガキじゃあるめーし…14にもなって雪で派手にコケるなよ」
「だって、獄寺さん早いんですもん。待たせたと思っちゃいました」
「別に…待っちゃいねーよ…」
…ただ、会えるのを待っていた。
昨夜の電話がどれほど嬉しかったか、口になんて出せない。
「ホントですかー? 待たせたからオゴリ、なんてナシですよ!」
「待ってないからそれは言わねえ」
「…じゃあ…何を言うんですか?」
「腕貸してやったからオゴリ」
「は、はひ! そう来ましたか…それは…否定できません…」
「ウソだよ! ケガ人に金出させるわけにはいかねー。
今日は俺が払ってやる」
「い! いいですよ! ムリヤリ誘ったのはハルだし、
コケたのだってハルのせいです! どうせ半額ですし、
自分で出せますよ!」
「…いいんだよ。俺が出したい気分なんだから」
「…獄寺さん…?」
「それくらいしか、今はしてやれることないからな」
「雪…止みましたね」
喫茶店を出てハルは空を見上げた。
空はすでに暗い。雲に覆われているのがよくわかる。
「これだけ積もれば十分だろ」
「まだまだ寒いから、しばらくは雪に困りませんね!」
「…意味がわかんねーよ…ホラ、出せよ」
「…何をですか?」
「手。まだ足引きずってるだろーが。送ってく」
「…もうちょっと口に出して言えないんですかねー」
「…なんか、文句あっかよ」
「ないですよ!」
ハルはそっと隼人の腕に手をかける。
…足なんか、もう大丈夫なのわかってるくせに。
「獄寺さんですもんねー…」
「あ?!」
「なんでもないですよー」
「ったく…行くぞ。またコケんなよ」
「獄寺さんが突き飛ばしたりしない限り大丈夫ですよ」
「するかよ!」
二人はゆっくり歩き出す。
歩道は箇所箇所雪かきされているが、
積もりっぱなしの道もある。…かなり積もったようだ。
そんな雪を見つめてハルがつぶやいた。
「雪が積もる、か…」
…人の気持ちも積もってく。
雪と違うのは…溶けてなくならないトコ。
もし溶けてしまったら…それは気持ちが終わってしまったコト。
…大丈夫。自分の中の雪は…溶けることはない。
ハルの手は隼人の腕からコートの中にもぐりこむ。
まだ暖かい手が触れて、そっと握られる。
…暖かな雪。
春を待たなくても、暖かな気持ちが心に広がる…。
Fin★
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「シルバーリングは?!」って話ですが…。
いや、3月になる前に冬っぽいもの書いておきたいな、とふと思って。
まぁなんとなーく「シルバーリング」への伏線もありますけどw
ツンデレ獄きゅんが少し書けた気がする…。
サーチで他の獄ハルサイトさん読んで、お勉強中です。
…今日はラルBD。コロラル書いてあげたかったけど、
まだ無理だった…。・゚・(ノ∀`)・゚・。
「獄寺さん、食べないんですか??」
「…食うよ」
「早くしないと、ハルもう一個頼んじゃいますよ??」
「…好きにしやがれ」
「じゃあ、そうします♪」
ハルはにっこり笑ってメニューを取り上げた。
「やっぱりモンブランもいいけど…二個目も同じじゃつまんないですよねー。
ねえ? 獄寺さん…ミルフィーユとフルーツ・タルトならどっちがいいでしょうか?」
「…両方食えば…」
「はひ! 何言ってるんですか! ハルにもっと太れって言うんですか!」
「そんなことはひとことも言ってねーよ…」
隼人は冷めかけたコーヒーを一口飲んだ。…安物の味がする。
「もう~…うん、今日はフルーツを食べたい気分なので、フルーツ・タルトにします」
ハルはヒマそうにぶらつくウエイトレスを呼び止め、フルーツ・タルトと紅茶を注文した。
隼人はため息をついてフォークを取った。おもしろくなさそうにイチゴを突いてみる。
「…獄寺さん、一つだけ聞いてもいいですか?」
「あ?」
「獄寺さん、ハルのことキライなんですか?」
ブッ!
「はひぃい! 獄寺さん、汚いですっ!」
ハルは紙ナフキンで飛び散ったケーキを拭き取る。
そして、隼人の口元のクリームを指で取った。
…隼人は顔をそむけて
「てっ! てめーが吹き出すようなこと言うからだろーが!」
「そ、そうですか? ご、ごめんなさい…」
「…なんでそう思う?」
「だって、いつでもアホ女扱いでしょ。口が悪いのはいつものことだけど…
ハル、最初からずっと思ってましたよ? 獄寺さんってハルのこと
キライなのかなって」
隼人は頬を掻いた。今までしてきたこと、それに間違いはない。
「それは、俺の性分だから…まぁ、悪いとは思ってる。だけどな…」
ハルはきょとんとした顔をしている。…もう少し自分で考えられないのだろうか。
隼人は言葉を探す。わかりやすく、わかりにくい言葉を。
「…あのな、お前がいくらアホ女でも少し考えればわかるだろーが」
「…どういうことですか?」
「キライなヤツと好き好んで二人でケーキ屋入るヤツなんていないんじゃね?」
ハルは考えるポーズをとる。
「じゃあ、獄寺さんはハルのこと好きなんですね?」
「なんでそーなる?! てめーの単純さにはほとほとあきれるぜ…」
「で、でも! あの…違うんですか?」
ハルは首をかくんとかしげる。
…これも、さっきのクリームを取ったことも狙ってやっているわけじゃないことはわかってる。
それが、三浦ハルという少女なのだから。
「…違わねーよ…」
「はい? 獄寺さん、聞こえませんよ」
「…! だから、違わねーよ! そーだよ! 悪いかよ!」
「そーなんですか! ハル、安心しました!」
…これが、三浦ハルという少女なのだ。
普通だったらそこで頬を染めてみたり恥らったりするものなのだろうが、ハルは違う。
隼人はうなだれる。そして、目に入ったのはショート・ケーキの上に
ちょこんと置かれているイチゴ。
「…こっの…アホ女!」
隼人はフォークでイチゴを突き刺し、それを軽く舐める。
そしてにこにこ笑うハルの口の中にイチゴを突っ込んだ。
「はぐ…獄寺ふぁんにょ、イチゴ…」
「フルーツ、食べたいんだろ。やるよ」
「でも、獄寺さん、今一回口の中に入れましたよね?」
「…気のせいだろ」
「そうですか…あ、タルト来ました♪」
ウエイトレスは事務的にフルーツ・タルトと紅茶のポットを置いて
とっとと引き下がっていった。
「紅茶は、獄寺さんにですよ」
「俺? まだコーヒー残ってるぜ?」
「ここ、紅茶の方がおいしいんですよ。獄寺さん、
あんまりここのコーヒー好きじゃないみたいだし」
さっき、一口飲んだ時に確かに一瞬眉をひそめた。
それを見て紅茶も注文したのだ。
「かなわねーな、てめーにはよ…」
「ハルだって獄寺さんに口で勝てる気はしませんっ!」
隼人はクックッと笑ってみせる。
差し出された紅茶は、確かにコーヒーとは違う上等な香りがした。
「あのね、獄寺さん」
「あ?」
「ハルも、獄寺さんのこと好きですよ。今日は手をつないで帰りましょうね」
Fin★
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獄ハル2作目♪ケーキネタはまだまだ続きそうです。
次は「愛と勇気とチェリーパイ」で書きます。
…その前に「シルバーリング」だけど!
イチゴの間接ちゅう♪書きたかったのですよー。