弟が19歳の若さで旅立った・・。


彼が亡くなってから、自殺未遂を繰り返した私は大阪の叔母の所に送られいた。

この現状から、せめて引き離そうという両親の思いからであった。


大阪・・・友達も、彼の匂いもない土地に始めは馴染めなかった。

言葉の違いや、私の心に一歩侵入しようとしている気がして誰にも馴染めなかった。


毎日、部屋に引きこもった。

嫌だったけど、一人で暮らしていた叔母の家の一室に引きこもった。

大阪の空はやけに遠くに感じた。


飲み屋をやっていた叔母の店を仕方なく手伝っていたが・・・面白くない。

でも、何もしないで叔母の家に居候する訳にはいかないのも分っている。

この店を手伝って欲しがっている事も・・・。


厳しいく優しい叔母のおかげで、1年の時間が経った。


彼の命日に帰る事にした。


そして、弟と一緒にお墓参りを済ませ現実と向き合った。

彼の死をまた心にしまい大阪に戻った3日後、弟が死んだ。


気が合う弟は、よくバイクに乗せてくれた。

美容院にも私を迎えに来てくれた。

いつも私をかばってくれた・・・。


でも私は弟を守りきれなかった・・。



この時、二度と自分から死なない約束を弟と交わした。


そして大阪でやり直す覚悟を決めた。

自殺をしようと考えてる私の頭の中は、すでに正常では無かった。

いつも理由を探していたんだろうか・・・・。

一人で生きて行く事が不安だから?

彼が居ない生活が寂しいから?


そんな事だけでは無いのも自分が良く分っている。

彼が死んだ理由も、正常ではなかったからだ。


薬さえ無かったら、死ななかっただろう。


止めることも出来なかった私は、自分が薬に飲み込まれて行った。

同じ事をしよう・・・と思った訳ではないが、同じ事しか思いつかなかった。


私は三度決行をし、すべて未遂に終わった。

死ぬことが出来なかったのか・・いやまだ死なせては貰えなかったんだろう。


いつも私の危機を察し、助けに来たのが大好きな弟だった。


弟・・・私達は仲の良い兄弟だったんだろう。

やんちゃな私達は、気持ちを分け合う事ができた。


そんな大事な弟も私は亡くした・・・・。



彼が自ら自分の命を絶った・・・・。

私が20歳、彼は17歳だった。


初めての大切な人との永遠の別れ。

20歳の私には、理解できず、あきらめきれず、ただ悲しいだけ。

この地上で、一番不幸な人間になった気がしてた。


何度彼の亡くなった場所に足を運んだか・・・・。

何度彼の服を抱えて泣いたか・・・・。

何度彼の顔やしぐさを思い出し、壊れる位泣いたか・・・・。


眠れない夜、見えないはずの彼が私の部屋にやってきた。


腕枕をしてくれた・・・・。


私にはそれが「死んだ彼」だと分かった。


若くて真っ直ぐになっている私の心は、どんどん加速して行った。

彼を追おうと・・・



私は自殺する事を決意した。