二人が共に、しかしそれぞれに垣間見た世界、街、声が同じものだったかどうかが純代は気になって仕方なかった。普通に考えればそれが同じかどうかを論じることさえ異常だ。
しかし健一が語った内容は純代が垣間見た内容と全く同じだったのだ。しかしそこに健一の存在はなかったはずだ。
「で、おじさんの声は私たちにこっちに来るような意味合いだったよね」
「そうなんだけど、その時すーちゃんはいなかったんだよ」
そんなとこまで同じなのだが、ある意味そこだけ違っていた。
「わたし、難しいことはよくわかんないけど、確かめたいな」
「それは俺も同じ。でもエッチして一緒にイクのが条件なのか?(笑)」
「だよね。それってなんだかエッチを楽しんでないよね」
「忘れよう忘れよう。やっぱりあれはたまたま偶然、俺たちには理解できない何かが起こっただけ。深く考えるのはやめよう」
「そうね」
そうは言ったものの二人とも引っかかりを完全に捨て去ることはできなかった。そのことが原因で数日はセックスレスの日が続いた。
それでも二人は束の間のリゾートを仲良く満喫していた。
そんなある日、純代のスマホが久しぶりに鳴った。崇子からだった。
完全に外界を遮断していたワケではないが、友人知人関係各所にはバカンスの間は連絡を取らないと宣言してやってきた長野だった。相当しばらく二人だけの時間を楽しもうと、せいぜいネットやテレビで世間の情報を得るだけの日が続いていたので、正直ちょっと寂しくもなっていた頃だった。
「すーちゃん、大変!」
崇子のうわずった声が聞こえた。
「タカちゃん、どうしたの?」
純代が笑いながら応答した。
「ごめんね、連絡しないって言われてたのに電話しちゃった」
「いいよ。わたしも二人きりに飽きたわけじゃないけど、ちょっと浮世離れしてる感じしてたから」
「あら、浮世離れはいまさらって感じがするけど(笑)」
「そう?それはそうと、どうしたの?」
