何故か必ずご来店するご家族
今日はどんなことが起こるか
ワクワクして待ちました
3月1日で92歳のお誕生日を
迎えられたお父様と
2月で66歳になった娘さん
そして２年程前から
同行するようになった
ふたつ歳上のお姉様
６６歳の姫がいつも主役
今日はとても不機嫌で来た途端から
洗いたくない切りたくないの一点張り
姫の言い分
全部自分でできる！
そりゃそうね
お姉さんの言い分
ここまで来たんだから
やってもらおうよ
この問答から強制的に
シャンプーブースへ
いつもこうなのよー
お姉様の言い分も分かるけど
無理やりは反発心も高まる一方
シャンプー台に座ろうともしない
ここまで嫌がるのは初めてかしら。
そんな時彼女の爪が目について…
お姉さんに尋ねたら
爪も拘りがあって
なかなか切らせてくれないの
はい、わたしの出番
髪のお手入れは一旦やめて
爪整え磨いてピカピカに
手を触れてると
少しずつ落ち着いてきた彼女に
髪切らないから
とこっそり耳打ち
彼女にそう約束して
シャンプーやお肌のお手入れ
私の目を真っ直ぐ見続ける彼女
見透かされ感が心地良かったのは
私に覚悟があったから
“あなたの意見を受け容れる”
家族から長いと言われても
姫はただ伸ばしたいだけ
彼女とやりとりしてると何故か
数日前に観た“ドラえもん宝島”が
脳裏によぎったりしたな…笑
私は誰と向き合って
誰に喜んでもらいたいか
これを忘れちゃいけない
ゲスト様を通し自分の信念と
向き合わされお試しされる
最初反発してた彼女は
自然に委ねてくれて
シャンプー中には急に笑い出し
鼻歌らしき歌を口遊みだした
私は脳の病気だから…
といきなり呟いてたけど
ただウンウンと頷きながら
そんなことは正直どうでもよい
と軽く流してたわたし
病気だろうが
障害者だろうが
健常者だろうが
こどもだろうが
目の前の人が満足してくれる
これが私の求める喜び
相手が何者であるかは
私にとって関係ない
お姉さんが間で口出ししてくると
あっち行って！
うるさい！
触らないで！
あまりに素直になった姫に
ブラボーって爆笑しちゃった私
感情最大限の訴えを賞賛
共に意志を貫いてくれたようで嬉しかった
こんなこと今迄言わなかったもの
昔々を振り返ると…
私が本音を言わせる間を
持たさなかったのかも知れない
それくらいご家族の意向をのみ
カットしてた時期もあったから
磨いた爪を嬉しそうにみせてくれて
写真も撮らせてくれた
今日は姫にとっても
私にとっても祝杯
うるさい！
姫の本音が美しくて心が泣いた
貴女があなたでいられるように
私も自分に正直に生きるよ
ドンドン本音をぶちまけて
自分を楽しもうね