実は私は研究生の頃、一時期JWから離れたことがあったのですが、偶然、元司会者の未信者のお父様とお酒の席でご一緒したことがありました。
もちろん最初は司会者の「あの迫害しているお父さん…」ということは知りませんでした。
でも同じ姓だし、顔も司会者にソックリだったので、「もしかして…」と思い、思い切って「〇〇さんって、もしかしてKちゃんのお父さんですか?」と聞いてみました。
お父様は最初キョトンとして直ぐに笑顔で「あなた、うちのK知ってるの?同級生?」と聞いてきました。
私は学校は違ったけど、よく知っているし、よく家にも遊びに行き、交流があったことを話しました。
とても料理が上手な事、笑うとクッキリえくぼが出て、お父さんと同じところにえくぼがあるところなどソックリですねと話すと、とても喜んで、娘の自慢話をされていました。
本当に気持ちを弾ませて娘の話をしていたんです。
こぼれ落ちそうな笑顔で…。
しばらくK姉妹の話題をお父さんとしていたのですが、急に何かを思ったのか、お父さんの弾んでいた声がトーンダウンして、「もういいよ…もうKの話はやめよう…」と視線を横に反らせて、静かにグラスを口に運んだあの場面が今でも印象に残っています。
お父さん、とっても寂しいんだな…と感じました。
複雑でした。
あんなに声を弾ませて、一瞬、顔が明るくなって「あなた、うちのK知ってるの?」と聞いて、娘の事を話す私の話題に対して「そうそう、そうそう、そうなんだよ。うちのKの作る料理は美味しいんだよ」と話していたあの表情は、本当に娘を愛している父親の顔でした。
本当は娘を愛しているのに、愛していることを表現できない不器用な父親なんだろうな…と、その時は安易に考えていました。
でも、そうじゃないんですよね。
その私の考えも、本当に浅はかな見方だったと思います。
そんな薄っぺらなもんじゃないんですよね。
このお父様には娘、息子4人いらっしゃるのですが、子どもたちは成人してそれぞれ独立しているのですが、未だに次男はお父様の事が大っ嫌いで、実家の母親を訪ねたときも、お父様と一切目も合わさず、一切口も利かないと司会者から聞きました。
確かに、体は父親よりも大きくなり、成人した若い青年ですから、今、父親が暴力を振るってきても腕力では父親より勝りますから、父親に対する恐怖などなく、威嚇することさえできるんですよね。
そんな態度の次男を、初老の父親は怯えているのか、腫れものにさわるかのように気を遣い、その姿が小さく映り「お父さんも年取ったんだなと感じる」と、娘たちは話していました。
次男にしたら小さい頃、何度も殴られ、父親からの体罰は理不尽に感じたことでしょう。
母親を経済的に困らせ、母親を泣かせてきた父親を憎んできたことでしょう。
その気持ち、分かります。
本当によく分かります。
否定はしません。
でもね…。
でも、
私は組織を離れてみて言えることなんだけど…。
確かに暴力はいけないですよ。
でも、それだけお父さんは必死だったってことでしょ?
じゃあ、お父さんが反対したことは間違っていたの?
違うでしょ?
JW組織は間違っているんだから、そこに行くことを反対したお父さんは正しかったって言えるでしょ。
お父さんが反対したことは正しかったんですよ…。
暴力を肯定はしませんが、お父さんだって他人のJWには暴力で反対しません。
放っておきますよ…他人だったら…。
家族だから…
自分の愛する家族…
男として、父親として守るべき家族…
家族のために働いて、自分が幸せにしてあげたいと守ってきた家族を取り戻すためにあれだけ必死だったということじゃないの?
夫として、父親として、至極当然なことなんですよ。
普通のことなんですよ。お父さんがしたことは。
確かにお父さんはJWの教理の間違いなんて知りませんよ。
でも、JW組織が間違っているという事実から、お父さんがしたことは結果的に正しかったということじゃないの?
あなたは、組織が正しい、自分が正しいと思っているから、反対してきたお父さんを憎んでいるんでしょ?
自分が正しいと思っているから…。
でも、組織の実態を調べてみてごらんよ…。
事実を知ったとき、それでもお父さんは間違っていたと批判できるの?…。
他人の私でも、あの組織の中にいた時は、あなたのお父様は「サタン」だと思ってました。
きっといつかエホバから大きな仕打ちを受けると…。
でも、組織が偽りであると真実を知った今、あなたのお父さんがなぜ暴力を振るってまで反対したのかと、お父さんの気持ちを考えると、他人の私でも泣けてきます。
と…
次男に話すことがあれば、そう伝えたい…。
まあ、そんな機会なんて決してないと思いますけどね(笑)
ふと、心の中で叫んでいたことを記事にしてみました。(^^;)