語り部アロマが紡ぐ

「輝きの姫 第130光」聞いていかれませんか。

 

テイト国 じゅもり村

 

ユノのリクエストで、ユノとジェジュンとチャンミンとジュンスは、魔法でじゅもり村に到着しました。ススキの穂に隠れてしまいそうな小さな立て看板に「じゅもり村」と記されています。

 

ぶわっとススキが吹き分けられたと思ったら、ユチョンが立っていました。

「魔法使いは突然現れますねー。自分がしてる時は感じなかったケド、人にされるとビックリシマスネー」

ユノとジェジュンとチャンミンが、ジュンスの方を向いてめちゃ頷いています。

「ジュンス。ジョンウに逢って話してきた。ありがとう。ジョンウも、12年の胸のつかえが取れたって。ありがとうって言っていた」

「それは良かったデス」

じゃあ、と片手を上げるユチョンをユノが引き留めます。

「この村には、すごいものが隠されているんだ。みんなにも見せてもらえるかもしれない。5人で一緒に行こう」

 

風にそよぐススキの原を登りきると、とてつもなく大きな樹がその枝を左右対称に広げ、悠々と大地に自らの影を大きな円として描き落としています。

端から端までが40mはあろうかという巨大な一本樹。

その中心には、大地と、枝が形づくる傘とを繋ぐ幹がそそり立ち、幹の周囲は10人で手を繋いで囲えるかというほどの太さを誇っていました。

 

チャンミンとジュンスとジェジュンとユチョンが口をポカンとあけて見上げています。

「こんな、でっかい樹があるんだ・・」

 

シダのように小さな葉が二枚対をなして並ぶ様は愛らしく、風が吹くと柔らかな葉同士がこすれ合い、ササーーと音を立てて波を作り風の通り道を見せてくれます。ピンクの絹糸を束ねたような姿の花があちらこちらにポンポンと咲いて、蝶や蜂が、せわしなく飛び交っています。鳥の鳴き声が心地よく響いてきます。樹の下の野では、鳥たちが小さな虫をつついている姿が見られました。樹上では、枝と枝とをサルやリスがすばやく動く気配が感じられます。

大きく地上を覆うように広がった枝にはあまたの生命が存在し、樹はその身を住処として提供し命溢れるこの空間を守っているようでした。

 

発する言葉はなくとも、5人が感動していることはお互いに伝わりました。ユノが樹に向かって深々とお辞儀をすると、ジェジュンもチャンミンもジュンスもユチョンもそれに倣いました。

 

「じゅもり村にようこそおいでなすった」

5人が顔をあげると、樹の杖をついた老人が、二人の若者を従えて立っていました。

今の今まで気配がなく、いきなり現れたことに驚きながらも挨拶を返すジェジュン。

「こんにちは。この村には、とても尊いものがあるのですね」

「ユノ。この白き衣の美しい人は、ユノの探し人じゃな。確か『輝きの姫』であったか」

獅子梵からの問いかけに、もうじっとしていられなくなったユノは、がばっと3人に駆け寄ります。

「その通りです。獅子梵様!ああ、ポン!ゴンママ!会いたかった。ペガサスに運ばれた時には怪我を治してくださってありがとうございました」

「そう。その話をゴンママにしたら悔しがって・・次はいつ来るんだって毎日聞かれて大変でした」

すらりと背の高い紫の瞳をしたポンが、ちらりと筋肉質なゴンママを見ます。

「だって・・ふたりだけズルイ。オレも会いたかった」

「ふぉふぉ。さあ、立ち話もなんじゃ。我が家へ魔法で移動いたそうかの」

獅子梵は手の杖をトンと地に打ち付けました。

 

続く