語り部アロマが紡ぐ

「輝きの姫 第122光」聞いていかれませんか。

 

テイト国 ジュンスの館

 

翌朝、雲ひとつない青い青い空が広がりました。

「なんて澄みきった空!涙が出そうなほどキレイデスー」

ジュンスのご機嫌な叫び声が館中に響き渡りました。テイト国ではこの10年、霞がかかったような白い空が常でしたので、このような雄たけびは、国中いたる所で聞かれたことでしょう。

 

ユノは、身体が重くベッドから起き上がれずにいました。魔法での回復の反動で、数日間寝込むというのは本当のようです。ジェジュンはせっせとユノのお世話をやきます。ホットタオルを作ってお髭を剃ってあげたり、ユノがよりかっこよく見える寝間着のカラーコーディネートを考えたり食事を運んで来たりくるくるとよく働きます。

人は眠っている間に体内の修復やホルモンなどを作り出す作業をするそうで、ユノは一日のほとんどを眠っていました。

たまに目を覚ますと、ジェジュンが覗き込んでいるのです。

 

ジェジュンのほんわり緩んでいた口元が、ユノと目線が合った瞬間にクッと口角が上がり、潤んだ瞳の光が強まります。白い頬はほんのり桜色がさし、その表情は、まるで花が咲いたように華やぎます。

その変化を見る度に、ユノの胸はドキンと高鳴り、幸せだなぁと感じていました。

「俺の輝きの姫。ありがとう。大好きだよ」

「うん!僕も好きだよ。ユノ」

「えーと、10歳の時の感覚で言ってる?それとも・・」

「僕が、ユノの思い続けていた『輝きの姫』だったんでしょ。だったら、ユノの愛情は僕だけのものだ。僕以外の人に好きとか言わないでよっ」

「うん。うん。約束する!ヤッター。俺のお姫様。大好きだよ。すっごく好きだ」

「・・・早く身体を回復させてよね」

「おう!任せろ・・・ってどういう意味?ねえねえ。期待していいのかな?」

目をキラキラさせてめっちゃ笑顔を見せるユノに、赤い顔したジェジュンがぺしっと言い放します。

 

「何の話さっ。ユノが元気になったら、みんなで『はじまりの森』に行きたいのっ。わかった?」

「えーーーっ。期待したのに・・・ま、いっか。早く元気になるから、食べさせてくれ。あーん」

「ユノの手は普通に動くでしょ。しょうがないなあ。はい」

ジェジュンが鶏ガラスープをスプーンにすくって、紅い唇をすほめてふうふうします。そっとユノの口元に運ぶジェジュン。

「熱くない?美味しい?」

「うん。めちゃくちゃ幸せな味がする」

「今度はデザートだよ。リンゴって身体にいいんだって。よく噛んで食べてね」

艶やかな紅いリンゴを素手でパキッとふたつに割り、半分をユノに差し出すジェジュン。

「・・・なんかスゴイ。俺もそれ、やってみたい!」

「元気になってからね」

 

続く