語り部アロマが紡ぐ
「輝きの姫 第80光」聞いて行かれませんか。
テイト国 びわ湖の妖精の国
切り株の家から出た3人は泉に向かいます。草が木のように行く手を阻みます。
「本来なら十数歩で終わる距離なのに・・妖精サイズは不便です。羽を持つ妖精のように飛べればいいんですけど。大地の湿気を受けて地表の凹凸を乗り超えるのがホントに大変!」
「そっか。普段と違う身体の大きさだから大地に近いんだ。じゃあ地球の鼓動も感じやすいのかな」
「よーし、靴を脱ぎ棄てて裸足になるか!」
裸足で歩きはじめますが、砂粒が足の裏に当たると想像以上に痛いので、大きな葉っぱを敷いてその上を歩いて行きました。
チャンミンが葉っぱを前方に移動させながら話します。
「さっきタオのパンケーキ作るのを手伝ったんですけど、なんかキラキラする粉を入れていたんですよ。なんだろうと思って聞いたら『魔法の粉じゃよ』って笑っていたんです。
僕たちに何か起こるのかな?」
「ステキじゃん!今日は魔法が使えたりして!」
「即席魔法使いか!面白そうだ!わっはは」
「ねぇ。寝転んでみようよ」
落ちていた大きめの葉を何枚か敷き重ね、その上にコロンと横になるユノとジェジュンとチャンミン
雲はなく青い青い一色が広がっています。自然と呼吸が深くなり、吸い込んだ酸素が手足の末端まで届くイメージが湧いてきました。
「人の身体の中も自然界と同じだよね」
「ああ、そう感じる。地に接している背中は暖かい。吸い込んだ大気はひんやりしているけど肺の中で暖かさをもつ。心臓がドクンと脈打って血が血管を流れていく。足の筋肉の動きが血を心臓に戻すそうだ。胃袋では朝のパンケーキを消化中だ」
「自分から優しい波動を毬状に出ているイメージをもとうよ。大地にも、大気にも大きく大きく」
「眠くなってきました」
「チャンミン寝ちゃっていいよ。チャンミンはいつも緊張しているから、力を抜きなよ」
「えっ、いいんですか?」
「いいよぅ。大丈夫だからさ」
タンポポの綿毛がふわっと飛び去っていきます。吹き抜けた風にふるっと身体を震わせるユノ。
「じっとしていたら身体が冷えた。チャンミン。探検にいこうぜ」
「はっ、寝てました。いまなんていいましたか?ユノ」
「探検しようぜ。あの糸杉に登ってみないか」
「・・・・垂直な果てしない崖によじ登るなんて無謀です!おまけに降りる時はどうするんですか?」
「そうだなあ、あそこの枝が水面に伸びているだろ。泉にダイブすりゃいいんじゃないか」
「・・・拒否権あります?」
「ない。さあ、いこう!」
ジェジュンはニコニコして手を振っています。木の幹の細かな樹皮につかまり、ぐいぐい登っていくユノ。チャンミンは木の根本で、あんぐり口をあけて見上げています。
「いや、木の皮なんて硬いし痛いし、素手でなんて無理です!!」
とチャンミンが叫ぶと、なぜかスパイクが付いたアームカバーと膝当て、滑り止めの付いた靴が装着されていました。
「えっ。どういうこと?登れってこと?私、魔法使いでしたか?」
チャンミンの変化を見てユノが叫びます。
「いいなあ、それ。俺も欲しい!おっ。やった。俺の身体にも付けられたぞ。さあ、ガンガンいくじぇえ!チャンミン。ついてこい!」
続く