語り部アロマが紡ぐ

「輝きの姫 第45光」聞いて行かれませんか。

 

テイト国 さいかい街

 

無事に子守を終えたアディダス家から、街の食堂に着いたユノとジェジュン。食堂では大勢の人がおしゃべりしながら食事を楽しんでいました。

「尾根の向こうはすっかり木が枯れて荒野になってしまったな」

「ああ。あそこも緑豊かな地だったのに、先月末から地表が妙に暑くて、大地が乾いちまった。今まではこんなことなかったよなぁ」

「あそこだけ熱くて。他のとこは寒さが増してないか?近くの温泉じゃあ湯の温度が下がったって噂だ」

「なにが起きてんだろうな?」

「わかんねぇなぁ」

 

街人の会話を聞いて、ジェジュンが呟きます。

「僕が通ってきた荒野の状態は、ごく最近の変化だったんだ。ねえ。ネ・・ジジ」

ミルクを少し掌にたらし、ジジに舐めさせるジェジュン。ジジのちっちゃい尻尾が動くのを、細く長い指に沿わせてじゃれているユノ

「ジジとジェジュンは、そこを通ったのか?」

「うん。周囲が山に囲まれた盆地になった荒野だった。そういや盆地なら寒さが増すはずだから、今考えると変だね」

「そうだな。ほかの土地の気温が下がっているのも気になるな。アイパットに何か情報はないか?」

ジェジュンが素早く検索をかけます。

「んーー。街の長からリクエストが出てる。『地熱を司るドラゴン退治の勇者求む!』ってさ。原因はドラゴンなのか。さて、どうする。ユノ」

「へえ。ドラゴンかあ・・・へ?ドラゴンって言った?ジェジュン」

「うん。地熱を司るなら熱そうなドラゴンだねえ」

「さらっと言うな!ドラゴンなんて見たことないし!」

「そう?僕は小さなドラゴン退治ならしたことあるよ。村の果樹園の作物を食い荒らしていたから退治したんだ」

「ジェジュン。すげえ。どうやって倒したのさ?」

「えーー。教えてあげるの、もったいないないなぁ」

「えっ。教えてください。ジェジュン様」

「そーだなーー。教えてあげてもいいけど・・・3日間、ユノが僕の荷物持ってくれるならね!」

「お安い御用だ!ちゃんとジェジュンの鞄は俺が持ってやるから!」

「交渉成立。あのね。ドラゴンの皮膚は硬くて剣では歯が立たない。だから足の土踏まずを狙ったんだ。飛び立ったときに足の裏めがけて矢を放った。落ちてきたところで首を落としたら黒い霧になって消えちゃった。ああ、首の後ろも弱点ね」

「うわあ。ジェジュン。ソンケーするわ。俺、ドラゴンに会ってみたい!」

ちょっとアヒル口で答えるジェジュン。

「獲物を見つけるのは大得意!僕と一緒なら、可能だよぅ」

「なんて素晴らしい才能!ジェジュンと一緒にチャレンジしたい!」

「OK!ユノ。まずはリクエストに参加して、情報を集めよう。暑さ対策もしなきゃだし」

「おう!」

 

続く