語り部アロマが紡ぐ

「石想アドバンス レベル125」聞いていかれませんか

 

水晶の街

 

『サザンクロス』

かつて、アルカディア、シリウスと共にパワーストーンマスターになるべく、旅をした男の名である。石のパワーを、誰よりも強く感応でき、石を愛した男であった。

あるとき、一つの大きな石を見つけ、長い年月をかけて磨きをかけた。滑らかに艶めく、光を乱反射する、その石は、表面が揺らめいて見え、見る者の心を奪う魅力に溢れていた。

石の名は『ヒヒイロカネ』。

サザンクロスは、恐ろしいまでの美しさを誇る、この石の虜になってしまった。

「この石ほど、神聖で尊いものはない。皆で、この石を拝もう。神として称えよう。

我らには、幸いが訪れるが、この石を信じないものは、邪悪に憑りつかれるだろう。排除せねばならん。

このヒヒイロカネを信じる者だけの、素晴らしい王国を作ろうぞ」

戦う術を持たぬ近隣の村は、次々と襲われていった。村で大切にしていたパワーストーンや金細工、織物は強奪され、ヒヒイロカネの神殿に飾られた。

「もっともっと華やかに飾らねば、

もっともっとエネルギーのあるものを捧げねば。

ヒヒイロカネが求めているのだ!

これは、神の御意思だ!」

サザンクロスの声に呼応し、ヒヒイロカネに惑わされし人々は、その通りに働いた。

周辺の村々には、悲嘆の叫びが溢れた。

 

サザンクロスの悪行は、遂には、アルカディア王国にも届くこととなる。

「なんと。あの聡明なサザンクロスが・・・このような愚かなことを・・・シリウス。なんとしたものか」

「サザンクロス。ポーラスターと夫婦になり、幸せに暮らしていると聞いていたが、想像を超える何かが起こったのでしょう。まずは情報を集めます。

しかし、アルカディア王国への、これ以上の被害は、即刻食い止めねばなりません。

王よ。パワーストーンマスターの修行の旅をしている、彼らの業績は、目を見張るものがあります。

ユノ、ジェジュン、チャンミン、ユチョン、ジュンス。

ちょうど、この『水晶の街』におります。彼らの力を、借りましょうぞ」

 

アイパットで、師匠シリウスの苦悩を聞いたチャンミンは、仲間に意見を求めます。

「平和なアルカディア王国を守らなきゃ。旅で出会ったカイやローズたちの幸せを、守ってあげなきゃだよ」

ジェジュンの言葉を受け、説明を加えるチャンミン。

「ヒヒイロカネ・・文献でしか、その名を見たことがない。つまり実在しない石だと思っていました。シリウスも、実物は見たことがないそうです。自然界で育まれたパワーストーンとは違う、邪悪な力を感じるといっていました」

4人の顔を見渡し、ユノが問います。

「恐ろしく硬度の高い石を、磨き上げ、そのパワーを増大させた、サザンクロスの執念は、凄まじいものがある。我らだけで、戦えるのか?」

 

To be continued