語り部アロマが紡ぐ

「石想アドバンス レベル120」聞いていかれませんか?

 

聖なる樹の原

 

「はーい。行ってきまーす。・・・って、どうやって?」

ユスが顔を見合わせていると、ほわっと何もない空間に『ドア』が現われました。

「えっ、エンドレスブルー、起きてるの?」

ジュンスが振り返りますが、エンドレスブルーは眠ったままでした。

「不思議だねえ」

ジュンスとユチョンはドアを開けて出掛けていきました。

パタンとドアが閉まると、『ドア』は消えてしまいました。ユスの座っていた『椅子』も消えています。


「これは、もしかすると・・・『アールグレイの紅茶が飲みたい』」

キャノピーチェアの中で納まってずっと考えていたチャンミンが唐突に大声を出します。

「どうしたの?」

ジェジュンがチャンミンの方を見ると、優美に『ティーカップ』を持って満足そうに微笑んでいるではありませんか。

「そうか!ここは願いが形になる空間なんだ!」

ユノの言葉に頷くチャンミン。

「そのようです。エンドレスブルーが『君たちに椅子を』といった時、自分たちが座りたいと思った『椅子』が、こうして、ここに存在したのです。『紅茶』もしかり。とても美味しいです」

「じゃあ、エンドレスブルーを助けるって、どうすればいいの?」

ジェジュンの問いかけに、光の粒子が集まろうとしますが、ぱっと霧散してしまいました。

「抽象的なものは無理なんだな。謎は自分たちで調べろってことか」

「ユノ。具体的であればいいんです。ん~。そうですね。『ジェジュンの質問の答えを持って、ジュンスとユチョンはここに戻ってくる』さ、待ちましょう」

チャンミン様、『スコーン』も願ったようで、クロテッドクリームと蜂蜜を添えたスコーンを召し上がっております。

 

ユノとジェジュンはシャンパンと苺を願い、ふたりの椅子の真ん中に、テーブルを置き細く長いシャンパングラスで乾杯して楽しんでいます。

 

やがて、空間にドアが現われジュンスとユチョンが帰ってきました。

「お帰りなさい」

「ただいまー」

「あ、お茶してる。いいなー。」

「ユチョンは何が欲しいですか?」

「んーとね。『冷たいレモネードとおせんべい』!うきゃん!」

応えたのはジュンス君。

「えー。俺は『梅昆布茶とおにぎり』が食べたい」

「では、『椅子』に掛けて召し上がれ」

チャンミンの言葉に、?マークをいっぱい飛ばしながら座るユス。

そこには、ちゃんと椅子と、ご希望のおやつが乗ったテーブルが現われたのです。

「うわっ。いつの間に。でも、おいしそ」

ユスは自分の欲しかったものを口に入れます。

「ああ、いい塩加減だこと」

ユチョンがもきゅもきゅ、おにぎりを食べながら感動しています。

「このせんべいの固さがたまらない。うははん」

ご機嫌でおせんべいにパクつくジュンス。

「自分の願いが形になるから味も好み通りということか。おもしろいな」

この現象に慣れてきたユノが呟きます。

 

To be continued