語り部アロマが紡ぐ

「石想アドバンス レベル100」聞いていかれませんか

 

星降る村  雪を冠する山々が連なる山脈 

 

標高の高いこの地域は、雪深い冬には暖かい家に籠り、木工細工や羊毛を紡いで織物や、毛糸製品を作り、時を過ごします。

固く焼いたパンに、暖炉の火であぶったチーズを載せ、ヤギのミルクを、日々の糧としています。

この小さな村に、十数年前に承認されたパワーストーンマスターのひとり、プレアデスが暮らしておりました。

「うーーん。穏やかな時間は、読書に集中するにはいいが、身体がなまる。雪解けはまだかな。草原でボールを蹴ったり、テニスをしたり、陽だまりでお昼寝をするんだ。なっ、リリィ」

声を掛けられた、黒髪の愛らしい顔立ちの女性が、困った顔で笑います。

「プレアデス。体力が余っているようですね。犬小屋の犬たちの散歩と、入り口の雪かきをお願いできるかしら」

小柄な女性ですが、大きなプレアデスの背中を押し、戸口へ誘導します。

「わかった。ちゃんと行くから。俺の愛しの奥さん。頑張ってのキスは?」

リリィは、かがんできたプレアデスの頬に、ちゅっとキスをしてあげます。

「んじゃ、がんばってくるよ」

「行ってらっしゃい」

戸外に出たプレアデスは、積雪のため、見えなくなった階段や、手すりの雪を落とし、家の前を、雪かきしていきます。犬小屋から出された数頭の犬たちが、白い息を吐きながら、落ちてくる雪にびっくりしたり、積もったばかりの雪を食べたりして駆けまわっていました。

 

ちょうどそこへ、ユノ達がやってきました。

「すみません。新雪が柔らかくて、ゲルが広げられず困っています。助けていただけませんか?」

金髪を書き上げ、ユノの方を見るプレアデス。

「その白いローブは、パワーストーンマスターの卵か!おっ、お前、もしかして・・」

「もしかして、じゃなくて、そうです。プレアデス。ユノです。お久しぶりです!」

「おおっ。アルカディアにいた悪ガキか!そうか。候補になれたんだな。おめでとう!ユノ」

「ユノ。知り合い?」

嬉しそうに手を振っているユノに、訪ねるジェジュン。

「ああ、星降る村にいるって聞いていたから、会えるとは思っていたけど、一番先にあえるとは思わなかった。すごいな」

「プレアデス。その名は、『パワーストーンマスターの歴史』で目にした事があります。星が好きなあまり、標高の高い山腹の小さな村に暮らしていると」

チャンミンの説明に、笑顔で応えるユノ。

「そう。こんな山奥には、不似合いな男だよ」

道具を片付け、犬たちを犬小屋に戻すプレアデス。ユノの方をむき、がしっとハグします。

「よく訪ねてくれた。家に入りな」

プレアデスに肩を抱かれたユノを、揺れるまなざしで見つめるジェジュンでした。

 

To be continued