語り部アロマが紡ぐ

「石想アドバンス レベル83」聞いていかれませんか

 

石造りの街 

 

「あの白く眩しい壁で囲まれた街、大きいね。街全体が白い石で出来てる。蒼い空とのコントラストがキレイだ。ああ、大きな門がある。物見台には見張りがいるみたい。鎧が光ってるよ」

ジュンスの感想に、チャンミンが説明してくれます。

「アイパットの情報ですと、『石造りの街』は、石細工が巧みで、外部への宣伝のために壁を作ったと書かれています。あの街特産の大理石が、真っ白な世界を作っているのでしょう」

ユチョンが、浮かんだ疑問を口にします。

「重い大理石を守るために、見張りが必要かしら?」

「見張りというのは、何か大切な物を守るためにいるものだ。大理石ではない何かを・・・守っているのか?」

「行ってみようよ!なんか、キレイでワクワクするし」

「さんせー!!」

ジェジュンとジュンスが、女の子同士のように、キャーキャーはしゃいでいます。

「行ってみるか」

「そうですね。何か起こりそうな予感がします。楽しめそうです」

「なにそれ!俺は、平和が好きよ。デンジャラスなのは、遠慮したいのに~~」

「ゆっちょん。ボクたち、修行の旅しているんだよー。うはん」

 

大きな開かれた門をくぐると、一面真っ白な世界です。眩しい太陽光の反射で、ハレーションをおこし、遠近感が狂い、軽いめまいを覚えます。5人はフードを深めに被り、眼を守ります。

街中を進むと、色とりどりのビシャフと呼ばれる布を、頭から巻き付けた人々が行き交う広場に入りました。頭の上に果物を入れた籐の籠を乗せ、器用に歩く人々。

「うわあ。果物がたくさん並んでる。見たことないのもあるよ」

「ジェジュン!これ、どうやって食べるんでしょう?どんな味だろう?」

ちっちゃくてオレンジ色の、丸い果実を手にし、チャンミンが珍しくはしゃいでいます。

「うーん。交換できるものは・・村で分けてもらった生ハムだよ。いいの?チャンミン」

究極の選択を迫られたチャンミン。どうやら新しい味への、好奇心が勝ったようです。

「うっ、あの豚足の生ハム・・美味しいけど、けど、この見たことない果物も、食べたいですっ」

ジェジュンが、必要の鞄の中の旅人のゲルのキッチンから、生ハムの1本を取り出します。

「おお、そりゃ隠され村の逸品『ハモン・セラーノ』じゃないか!あの村独特の低い気温が、いい具合に肉を熟成させるんだとさ。鮮やかなピンク色の肉で、柔らかい歯ごたえと、絶妙な塩味が、そりゃうまいんだ!それと交換なら、このミカン、好きなだけ持って行ってもらって構わないよ」

「ありがとうございます!!」

チャンミンが満面の笑みで答えます。コロコロしたミカンを、たくさん運ぶのに困ったチャンミン。蓋付の籐製の籠も手に入れ、詰め込み、必要の鞄に入れました。その様子を見ていたジェジュンは、ふと思いました。

「果物が傷む心配は・・・ま、しなくていいか」

 

To be continued