語り部アロマが紡ぐ

「石想アドバンス レベル80」聞いていかれませんか

 

ドワーフの丘の村 

 

朝日が照らす丘の滝に、息を切って走ってくるリョーコの姿が見えます。滝の前に佇むヒロミがリョーコの姿を見て驚きます。

「どうしたの?こんなに朝早く」

「はぁ、はぁ。うん。夢をみたの。んと、夢の内容は思い出せないんだけど・・・・ここに行かなくっちゃいけないって。すごくドキドキして、走ってきた」

「・・・不思議だな。僕はリョーコがここに来たらいいなって考えていたから。ドワーフの魔法かな?」

ドキン

「ヒロミ・・・私に会いたいって思ったの?」

「そう。でも、リョーコは美形しか目に入らないから、隣街のセレムとか、ジェジュンとか、ユノとか。僕が、何か言っても、笑われるだけだって、ずっとそう思っていた。でも、昨日ドワーフと出

会って、楽しい時間を過ごせて、でも、もう会うことはない。たった一度の出会いの場なんだって経験をしたじゃない。

僕は思ったんだ。人の出会いも、そんな風に大事にするべきじゃないかって。明日も、今日と同じ明日が来る保障なんかないって。だとしたら、今を大事にしなきゃ。

いつか言おうなんて、思ってないで、ちゃんと今、自分の想いを伝えなきゃって考えていたとこなんだ。

そしたら、リョーコが走ってきてくれた」

「わ、私が、美形で騒ぐのはただの憧れだよ!花や星をキレイって言ってるのと同じだもん。

・・・でも、私もドワーフと出会えて考えた。ドワーフの創りだす作品は、綺麗で素晴らしい。

でも、それを作り出せるドワーフって、もっとすごいんじゃないのかなって」

ヒロミがリョーコの正面に立ちます。

「うん、そう思う。

ね、聞いてくれる。僕はね、

僕は、リョーコが好きなんだ。

小さい頃から、一番気になる女の子で、守ってあげたいってずっと思ってたんだ」

勇気を振り絞って、気持ちを伝えてくれていることを、ヒロミの握りしめた手が、細かく震えている様子が物語っています。そっと、ヒロミの手を、両手で包み込むリョーコ。

「ありがとう。すごく嬉しい。私、これからヒロミの事、よく見るようにするね!

それから、私の恋人にしてもいいかどうか決める。それでもいい?」

「うん!僕の事、ちゃんと見てくれるんだ!やった!絶対、恋人にしてって言わせる!」

「もうっ、どこから来るのよ。その自信」

「だって、僕ほどリョーコを好きな奴はいないだから!」

「・・・きゅんとして、息が止まるかと思った」

「えっ、ダメだよ。ちゃんと僕のお嫁さんにならなきゃいけないんだから。はい、ちゃんと深呼吸して~」

「もうっ、ヒロミ!」

「あははっは」

 

滝の裏側では、ドラゴンの散歩に、出ようとして出られずにいたドワーフ達が、ヒロミとリョーコの微笑ましいやり取りを見守っていました。

「人間は『指輪』が好きだよな。夕べ会ったパワーストーンマスターの卵も喜んでいたもんな」

「じゃあ、ふたりが結婚したら、指輪を届けてやろうぜ」

「それがいい。そうしよう」

 

リョーコが見た夢は、滝の前で愛を誓う、自分とヒロミの結婚式の様子だったのかもしれませんね。

 

To be continued