語り部アロマが紡ぐ

「地上に花 夜空に星 三十輝」聞いていかれませんか。

 

『東方神起』コンサートアリーナ会場 

 

地味な黒服に身を包んでいても、ユノとジェジュンの、すらりとしたかっこ良さは目立っていました。

「臨時バイトの君たちは、ちょっと目立ちすぎて、興奮したお客さんを無駄に刺激しかねないから、暗い会場内での仕事をしてもらおう。ライブが始まったら、通路にお客さんが出てきたりしないように、スターティングポジションで待機する役目。通路に物が落ちたり銀テープが落ちたりするから、そのときは走っていって素早くお客さんに渡すんだよ。3時間気を抜かないでね。それが終わったら会場を片付けしてバイト代を渡します」

「はいっ」

他のバイトと一緒にプレミアム席のカバーをつけたり、席番号を表示したり作業に励みます。ステージでは最終的な音あわせをしています。

「なんか、ものすごく役得だ。彼らの歌声って伸びやかでハーモニーが綺麗だ。いいバイトだねっ」

会場時間になり、お客さんが入ってくる前に休憩を取ります。

さあ、開演時間です。

徐々に暗くなる会場にすばやく潜り込み、任された通路を見張ります。スタ-テイングの姿勢で3時間はきつかったのですが、すぐ背後はステージ、スピーカーがそばに設置されていた為、音楽をまさしく体感でき、大迫力でした。

『レッドオーシャン』と称される赤いペンライトの光が会場を染め上げ、観客の笑顔が溢れます。

ステージ上では、アーティストが最高のパフォーマンスを繰り広げ、それに感応する観客、まさに一体感という言葉がふさわしいライブでした。

大勢の観客が引けた後、椅子を片付け、ゴミを拾い、日当を受け取って、帰るユンジェ。

「・・・すごかったね。ライブ」

「うん、すごかった。まだ、身体の細胞がざわざわしてる気がする。大勢の人に、あれだけの感動を与えられるってすごいことだよな」

「うん、感動した。ユノ」

「次は客として楽しみたいな」

「プラチナチケットだよー。でも取れたらうれしいねっ」

「ああ」

しばらく抜け殻になるとおもいますよ。おふたりさん。