ぱんだくんは与えられた力の2回目を使いました。
「ユチョン!助けて!電線を元通りにして!」  

「まさか、俺に、この力が使われるとは思わなかったよ。ぱんだくん。おひさしぶり」
しゃがみ込んで、ぱんだくんの頭を撫でるユチョン。

(お願い。早く直して!じゅんが困ってるんだ)

「りょーかい」
ユチョンがウインクすると、ちぎれていた電線は元通りになりました。

集まってきたイベント仲間に相談しているじゅんに、ぱんだくんは最後の力を使います。

(なおったよ。ライトを点けてみて!)

「えっ?今、声が頭に響いたんだけど・・。あ、電線。なんともなってない!よかった。見間違いだったのかな?」  

日が落ちて、暗闇に輝くツリーイルミネーション。星が樹の枝に降りてきたような幻想的な雰囲気です。
店頭の赤や緑の華やかなクリスマスツリーとは対象的で、シンプルながら神秘的な空間は、皆に好評で、イベントは大成功でした。
「ぱんだくん。私が『楽しいこと』を創り出せたんだね。なんか、すごく嬉しい。来年は、暖かい飲み物が提供できるよう、商店に依頼しようか。地上の電線はシートで隠さなくっちゃね。
ああ、いろんなアイデアが浮かんでくるよ。『楽しいことないかなぁ』じゃなくて、『楽しいこと考えよう』だね」  


その様子を見ていた、美しい5人がいました。
「ふふっ。ぱんだくん、がんばったね。ユノ」
「俺たち、出番なかったな。ジェジュン」
「いいんじゃない。このツリーイルミネーション、ロマンティクでデートにぴったり。ユノ、ふたりで歩こう。この空間を楽しもう」
オーラを消し、腕を組んで歩くユンジェ。でも、その類まれな美貌で、道行く人は皆振りかえるのですけどね。
 

「うはん。このイルミネーション、将来はもっと規模が大きくなって、華やかになる。日本各地の主要な都市で行われるイベントに発展して、恋人達だけでなく、家族連れも、いい笑顔で見上げている光景が見えるよ」
「助けた命は、素晴らしいイベントを創り上げるきっかけになったのですね」
「いい仕事したんじゃない。俺たちも。ぱんだくんも」
白い息を、手に吹きかけながらチャンミンが言います。
「冷えますね。今宵はモツ鍋がいいんじゃないですか」
「うはん。クリスマスイブなのに、鍋なの?」

「お店はやってるよん。じゃあ、九州に移動ね。ユンジェは・・・ほっとこうか」

12月、あでやかに彩られたクリスマスイルミネーションにまつわる、ある聖夜のエピソード。お楽しみいただけましたでしょうか。アロマからの、ささやかなクリスマスプレゼントでした。

それでは、みなさま。メリークリスマス。