語り部アロマが紡ぐ
 「リトルラブ トゥエンティーンハート」聞いていかれませんか。

砂漠の国では、ジェジュン王子の王位継承のセレモニーが10日後にせまり王宮の者たちは準備に大忙しです。当のジェジュン王子は特にすることもなく、周囲の喧騒を眺めていました。
そんなとき、ジュンスの国から、ワールドカップ優勝決定戦への案内状が届きました。
「宰相。ワールドカップスタジアムの貴賓席への招待状が届いたから、行きたいのだけど」

「貴賓席ですか!それは素晴らしい。ワールドカップでしたら全世界に放送されます。ぜひ、華やかに着飾って出席するべきです。いってらっしゃいませ」
「ありがとう。相手国から専用機で迎えに来るって書いてあった。えっと・・3日後」
「承知しました」

3日後、砂漠の国の飛行場に専用機が到着しました。

 

飛行場のプレミアムルームで待っていたジェジュン王子。ジュンスの国の首相代理が恭しく長い口上を述べています。しかし、ジェジュン王子の眼差しは、黒いスーツに身を包んだ長身の男性に注がれています。

すらりと細身の体に、長い足。癖のある茶髪は肩までの長さがあり、ポニーテールの位置で、すこし束ねてあります。動くたびに髪がさらさらと動き目を奪われます。サングラスをかけているので目元はわかりませんが、ぽってりした唇から顎、頚にかけてのラインがセクシーさを感じさせます。シャープなフェイスラインが整った顔立ちであることを推測させます。
耳にイヤモ二をつけているところをみると、どうやら彼はSPのようです。

((ぼくったら・・彼から目が離せないでいる。ダメだよ。ぼくにはユノがいるんだから・・でもすっごく気になる・・))

首相代理の話が終わり、黒服の彼がジェジュン王子のそばにすっと立ちます。
「今回の行程で王子をお守りするSPです。テコンドーの有段者で腕前はたしかですぞ。どうぞおそばに置いてやってください」

「ご配慮ありがとうございます」
((声、震えていなかったかな。この人とずっと一緒にいると思うとドキドキする))

ジェジュンは、ちらっと、自分より少し背の高いSPを見上げます。
視線に気づいたSPが軽く会釈します。
「よろしく」
低く響く甘い声です。

ドキン
と鼓動が大きくなったジェジュンは、頬が赤くなるのを見られないように急いでうつむきます。
((ゆの~~。早く逢いにきてよ~~~。ぼく困るよ~~))