語り部アロマの紡ぐ
「バンパイア 最終話twenty-six kiss」 聞いていかれませんか。
東京のマンション。
ジェジュンとユノが、新婚旅行から帰ってきました。
「チャンミン兄様。ただいま~」
両手を広げ迎えるチャンミンに、ひしっと抱きつくジェジュン。後ろでユノは苦笑いです。
「会いたかったですよ。私のジェジュン。父様とは母様は元気でしたか?」
「うん。とっても。ジェジュ、綺麗になったって褒められちゃった。ユノも素敵な男ねって。結婚も祝福してくれたよ」
微笑むジェジュンから、新妻の色香が溢れ、眩しいほどです。
ユノがバッグハグで、ジェジュンを抱き、チャンミンから引き剥がします。
「兄弟の挨拶はもういいんじゃないかな。俺の奥さん。
ただいま戻りました。お・に・い・さま」
すこし、にらみ気味でチャンミンに挨拶するユノ。
「焼きもちを素直に現すなどと、大人気ないとは思いませんか。ユノ」
「大切なものは自分で守らなきゃ、ね」
ドヤ顔で笑うユノに、今度はチャンミンが苦笑いです。
「なんか、ふてぶてしくなったね~。ユノ」
リビングに置かれた白いグランドピアノを弾いていたユチョンが呟きます。
「わあ、ピアノ買ったの!素敵。弾いて、弾いて。ユチョン」
ジェジュンが嬉しそうに、曲にあわせて歌を口ずさみます。
「綺麗な声です~。ジェジュン、一緒に歌おう。うはん」
ジュンスが加わります。5人みんな声を出し、綺麗なハーモニーが響きました。
「おおっ。いいじゃん。CD出したら売れるかも」
ユチョンが冗談を言います。
「芸能界は、映像に姿が残るので論外です」
チャンミンが却下します。
ユノが呟きます。
「数年前にCD発売しても、メディアに姿を現さなかったグループがいたよ。歯科医の卵で、顔を出さなかった。歌だけで大ヒットした。
そんな風にしたら、俺たちもCD出せるんじゃないか」
「映像なしで音源だけというわけですか。ま、私たち5人が画面にでたりしたら、日本だけでなく世界中を虜にしてしまうでしょうから」
「うははん。自信家ですねえ」
「当然です。長年生きてきて、私とジェジュン以上に美しい人に会ったことはありません」
「おほほ、曲なら何曲か書きためているユチョン様ですよ。これが陽の目を浴びる日がこようとは。
1曲目はアップテンポな曲にして、2曲目はバラード。美ハーモニーを聞かせちゃいましょ~」
「MVを作ってユーチューブに載せれば、宣伝ができますね」
チャンミンも乗り気になってきました。
「なんか、楽しーデス。ワクワクします」
「グループ名はどうする?」
「『東方神起』なんてどう?
姿なき神が東方から起きるってミステリアスじゃない」
ジェジュンの提案に皆同意します。
「ジュンスとユノはダサいスーツ着て外部交渉係ね。
チャンミンはスポンサー兼ブレイン。
僕はネットにモバイル作って記事書こうかな。楽しいかも!」
「1曲目。『BREAK OUT』にしよ。練習~」
『見つめてる 夢は今 夜明け前の 遠い空 確かめるように 照らし出すよ 歩く道程(みちのり)と その先を 陽は昇り繰り返し 終わりのない涙はない いつかはそう思えるから 生きるよ
BREAK OUT! BREAK OUT! 明日へのドア開くカギはきっと君の手の中
BREAK OUT! BREAK OUT! つかみとれ未来
運命なんてきっと Make yourself 君次第』
「健はバンパイアにしないの?」
練習の休憩時間、コーヒーを飲みながら、ジェジュンがチャンミンに聞きます。
「人間として成長していく健を見守る恋人という立場は悪くありません。年を重ねて妖艶さを増した健を愛でるのも楽しみです。
健の両親が天に帰ったあと、バンパイアにして若返えらせて、結婚式を挙げます。真っ白なレースのウェディングドレスを着てくれる約束なのです」
「チャンミンってロマンチストだったのね。意外だわ~」
「ジェジュン。俺、ジェジュのドレス姿見たい!ね、写真撮りだけでいいから。ね~」
「もう。兄様が変なこと言うから。結婚式はちゃんとやったし、僕は男だ。ドレスはいやだ~」
「じぇじゅ~ん」
「一生やってろ」
「永遠にじゃね?」
「うきゃん」
さあ、ここらで物語の幕を下ろしましょう。
それでは、ごきげんよう