語り部アロマの紡ぐ
「バンパイア five kiss」聞いていかれませんか。
公園でバスケするユノを、木陰で本を読むふりをして見つめるジェジュン。
視線を本に落としている間に、コート上にいたはずのユノの姿が見えなくなりました。
周囲を見渡し探していると、ベンチの後ろから声を掛けられます。
「3回目だね。ここにいるの。
初めて見た時、マリア様みたいに優しい笑顔してた。
ずっと話したかったのに、君、すぐ消えちゃうんだから。やっと捕まえた。名前教えて」
「あっ、いえ。ほっといてください」
立ち上がり駆け出そうとするジェジュンを、ベンチをひらりと飛び越してユノが立ちふさがり身体で止めます。
「ぶっ」
ユノの厚い胸板に顔をぶつけるジェジュン。
「逃げないで。話をしようよ。君のことがすごく気になるんだ」
ジェジュンの身体をユノの腕が包みます。
「ん、お前熱い。離せ」
ジェジュンが身をよじるとユノが笑いながら抱き抑えます。
「お前じゃない。ユノだ。君は?」
「かまうな。離せ!」
「いや。離さない。
いつもここから熱く俺を見つめていたじゃないか。
どきどきして堪んないから、こうやって近くにきたのにつれないなぁ」
「誤解だ。ぼ、僕は見つめてなんか・・」
顎をつかまれ上を向かされると瞳の奥を覗き込むように顔を近づけるユノ。
ジェジュンは頬が紅潮してくるのを感じながら抵抗します。
「素直になりな。名前言わないとキスしちゃうよ」
「なっ!
・・ジェジュン。ジェジュンだ。ちゃんと言ったぞ。離せ」
「ジェジュン・・・。顔もきれいだけど、名前もきれいだ。近くで見ると肌も白くて触り心地がいい。唇はピンク色で誘われているようなんですけど・・」
ユノの顔が降りてきて空が見えなくり、唇にやわらかいものが触れ、全身が暖かさに包まれた。
「やっ・・んん」
長いキスに呼吸が苦しくなるころ、ちゅっと音をさせて唇が離れました。
「はぁ、・・はぁ。何の・・つもりだ」
睨みつけても、ユノはにこにこ笑いながら抱きしめている腕を離しません。
「ジェジュンの想いと同じつもりですけど。
ジェジュンの熱いまなざしのほうが、俺の胸がドキドキして苦しかったぜ。
ほら、今もどきどきしている。
ああ、もっとキスしたいから俺の家へ行こう。・・ジェジュン。・・来るね」
「ぼくを家に招いてくれるの?」
太陽のような笑顔で答えるユノ。
「ああ、おいで」
ユノの家は郊外の一軒家。玄関の鍵を開けて黙って入るユノ。
玄関には大きな男物の靴が2足乱雑に脱ぎ散らかしてあります。
「他にだれもいないの?お前、一人で暮らしているのか?」
ダン。
閉めた玄関ドアに背中を押し付けられるジェジュン。
「痛っ」
「お・ま・えじゃない。ユ・ノだ。ちゃんと呼んでごらん」
ユノが腰をかがめジェジュンと視線を合わせ、
透き通った虹彩が輝く、強いまなざしで、見つめられる。
「ゆ、の。ユノ。」
「そう、もっと呼んで、ジェジュン。ジェジュンの声はとても優しいね」
ユノがふっと微笑むと、ジェジュンはほっと安心して力が抜けた。
「ユノ。ユノ。ユノ」
「合格。じゃ続きをしなくっちゃ」
ひょいとジェジュンをお姫様抱っこすると大またで家の中へ進んでいきます。
ぼすん。
下ろされたのは柔らかなベッドの上。
「えっ。なんでベッド?
ユノ、なに脱いでるんだ!」
「ん?恋人同士ですることはひとつでしょ。家までついてきて、キスだけで終わると思うジェジュンがおかしい。さっ。脱いで。大丈夫。寒くないよ」
「なんで、そう強引なんだ!っていうかムードもなにも無しか!」
「・・色気はこれから出すんだよ。ジェジュン・・素直になりな」
次へ続く。