語り部アロマの紡ぐ

「じゅうごこめのそらのはなし」聞いていかれませんか。

 

 

しばらくすると、雨が止み日の光が差してきました。

 

「暖かな日の光。あの小さな男の子の魂も暖かさに包まれているといいのだけど」

 

泣き止んだ赤い目のアンが微笑みます。

 

「アン。その男の子に名前をつけてあげませんか?」

 

チャンミンがにやっと、いたずらっ子のように笑い、後ろを振り返ります。

 

「ガブリエル。見つかりましたか?」

 

後ろにはユノが立っていました。

両手で何か包み持っていますが、長くてきれいな指に包まれて中は見えません。

 

「ああ、きれいな魂で輝いていたからすぐ見つかった。

可愛いアン。

このグレイの子猫がその男の子だよ。まだ生まれたてだから震えてる。

アン、両手を出して」

 

ユノのそばに駆け寄るアン。手の中を覗き込みます。

「ユノ兄様!ああ、なんて嬉しいの!ありがとう。

あっ、そっと置いてね。わあ、柔らかい。ちっちゃいな。私のそばに置いてずっと大切にするわ」

 

笑顔を見せながらもまた涙があふれてくるアン。

 

「喜びの涙もまた、よいものです。心の調和が保たれます」

 

チャンミンのエメラルド色の瞳がキラキラ光っています。

 

「癒しの大天使ラファエル。ありがとう。

ああ、そうだ。名前はグリーンにしよう。チャンミンの瞳の色よ。かっこよく育つに違いないわ。ふふっ」

 

「ちょっと安易すぎませんかね」

 

照れた様子で言い放つチャンミン。まんざらでもないようです。

 

 

今宵はこれくらいにして続きは次の機会に。