語り部アロマの紡ぐ

「じゅっこめのそらのはなし」聞いていかれませんか。

「空の上に帰りたいな 空の上のほうが楽しいから」

窓辺で呟く5歳の少女が過ごしていた『天界』の物語です。

 

 

天界は幾層にも重ねられたパイ生地のようにいろいろな階層に分けられています。

神がおわす最上階、

大天使たちが治める階、

守護天使たちが勉強を積む階、

聖人たちがまどろむ階、

次に生まれ出でる日を待っている魂の階、

魂がよりよくなろうと罪を悔い改める階、

亡くなったばかりの人間としてのしがらみを忘れる為の階

などがあります。

上層の者が下層にいくことはできますが、基本的には完全に隔てられています。

今日は大天使ミカエルと大天使ウリエルが聖人たちの階の様子を見に来ています。

 

上層にいる時にはしまっていた純白の大きな翼を顕わし、威厳が増した大天使の姿です。

 

「ミカエル、今日は一段と綺麗だね。波打つ金髪や肌が輝いていて眩しいよ」

ジュンスが素直に褒めます。

ジェジュンは、なぜか頬を赤らめて笑っています。

 

「ウリエルもいつになく決まっているね。銀色の髪や瞳が、青い衣に映えて素敵だよ」

 

「それはどうも。でも、ミカエルはなんで頬赤らめているの?」

ジュンスは浮かんだ疑問を投げかけてきます。

 

「えっ、いや。昨日、ユノと地上でデートしたからって、そんなの関係ないもん・・」

 

ジェジュンしどろもどろで誤魔化そうとがんばります。

 

「なんだ、そういうことか。良かったね!」

ジュンス満面の笑みです。

「ん~」

ジェジュン誤魔化しきれず苦笑い。

 

「さあ、仕事をしよう」

ジュンスに促され歩を進めます。

 

聖人たちの中から

18歳くらいの少女が駆け寄り、ミカエルの足元にひざまずきました。

「大天使ミカエル様。お会いできて光栄です」

 

少女の笑顔にミカエルも微笑んで答えます。

 

「久しぶりだね。聖ジャンヌ・ダルク。穏やかに過ごせているかい?」

 

 

次に続く。