ようこそ
語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第12場scene1
聞いていかれませんか。
さあ、今夜はアルマーニ家主催の舞踏会。
商売相手や工房の親方ご夫妻など顔見知りが多く集まり和やかな雰囲気です。
ひとしきり食事とワインが振舞われ、お互いの挨拶が終わった頃、あとは楽しみにしていた坊ちゃんたちの出し物、劇の上演を待つばかりです。
客席に腰掛け、幕が上がるのを今か今かと待ちわびています。
ユチョンが幕前に現れ口上を述べます。
「お集まりの皆様。たいへんお待たせいたしました。
ただいまから日ごろの感謝を込めて皆様にお楽しみいただくために、我らが創作した劇を上演いたします。
物語は生まれ育った家が敵同士であるヴィスコンティ家のひとり息子ユノとサンティ家のひとり娘ジェジュン。二人は舞踏会で出会い、ひと目で恋に落ちてしまいます。はたしてこの恋は成就するのでしょうか。
どうかこの恋の行く末を最後まで見守っていただけましたら幸いでございます。
それでは、物語の幕を開けましょう」
~第一幕 舞踏会~
サンティ家の舞踏会。
舞台中央で街一番の歌い手ジュンスが楽団を従え見事に歌い上げます。
みな聞き惚れ拍手が沸き起こります。
サンティ氏に手を引かれ、頬を赤らめた初々しいジェジュンがジュンスと並びます。
まだ少女のあどけなさと清楚な雰囲気を青いドレスが引き立てています。
彼女の歌は美しく、聴いていて心が洗われるようでした。
歌い終わり片膝を曲げドレスの端をつまみ笑顔で挨拶をした時には、もっと聞きたいとお客様からの拍手が鳴り止みません。
ふたり顔を見合わせ笑顔で歌いはじめます。
まずは透き通った優しい歌声のジェジュン。
途中からジュンスがハーモニーを奏で、歌に厚みが出ます。お客様は満足そうに聞きほれています。
舞台端でジェジュンに見とれている青年はユノ。
ユノ:あの青いドレスの女性は誰だろう。なんて素敵な歌声と美しい顔をしているのだろう。
でも、ここは敵のサンティ家の舞踏会。ヴィスコンティ家の私がもぐりこんだことがばれては大騒ぎになる。目立たないようにしなければ・・。
次へ続く。