ようこそ
語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第9場scene1
聞いていかれませんか。
ユノに「お前は魔力を持っている。俺を落とす為に魔力をつかったでしょ。」と言わしめたジェジュンの魅力。誰もが認めるその魔性を証明する物語をいたしましょう。
ジェジュン16才の誕生日。朝の光に包まれてユンジェが目覚めます。
「おはよう。ジェジュン。大切な今日を共に迎えられてうれしいよ。まずはお誕生日おめでとう」
ジェジュンの長く伸びた黒髪を撫でながらユノがキスをします。
「ありがとう。毎朝ユノに一番に会えることが幸せ。あいさつやキスも一番に出来る。毎日が誕生日みたいに僕は幸せだよ」
16歳になったジェジュンは、どきどきしてこの日を迎えました。
「今日はジェジュンの生まれた村に行く。それからローマへふたりだけで旅行に行くからね。荷物は着替えくらいでいいよ。さあ、用意して」
朝食を済ませ、ユノとジェジュンは馬に跨り出発の準備をしています。
「どうして相乗りなの?僕ひとりでも馬に乗れるようになったよ」
ユノの前に座り、馬の手綱はユノが操っています。
「俺がこうしたいの。ジェジュンと出かけるのに、2頭の馬で別々に行くのはさみしい。俺がお前に触れていたいんだ。お願い。ジェジュン」
ジェジュンの胸がきゅんと締め付けられます。お願いするユノはなんて可愛い目をするのでしょう。
「・・うん。わかった。僕もユノの腕の中にいられてうれしいよ」
「ありがとう。ジェジュン。
じゃあ、行ってきます。父さん。母さん。向こうでちゃんと書類の手続きをしてきます」
「ああ、頼んだぞ」
ビィスコンティ氏が返事をします。
「ユノ。これを持っていって。私が嫁ぐときに使ったものよ。貴方にあげるわ」
ビィスコンティ夫人がユノに布袋を渡します。重くはない品物のようです。
ユノは頷き、うれしそうに微笑んで、もう一度両親のほうを向き、
「行ってきます」
といって馬を歩かせました。ジェジュンもあわてて
「行ってまいります」
ふたりはジェジュンの生まれた村に向かって旅立ちました。
次に続く。