ようこそ 

語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第1場scene1

聞いていかれませんか。

 

ユノに「お前は魔力を持っている。俺を落とす為に魔力をつかったでしょ」と言わしめたジェジュンの魅力。当のジェジュンは自覚していないのですが、誰もが認めるその魔性を証明する物語をいたしましょう。

 

15世紀イタリア、花の都フィレンツェ郊外にある池の近くの小さな家に

ジェジュンは祖母と二人で暮らしていました。

 

年のころは12歳、まだ少女のような雰囲気です。

癖のない黒髪がうなじを覆い、白い肌に紅をさしたような唇がみずみずしい、青い瞳のジェジュンが水浴びしている姿を、草花を描写していたひとりの男が目にします。

 

水に濡れた美しい少年に、男は声をかけます。

「あ、あの君。失礼。話しかけてもいいかな?私は画家で、今度、美の女神を描こうとしているんだが、君の陶器のような肌、滑らかさ、白さが海の泡から生まれたばかりのヴィーナスのイメージとぴったりだ。

その、ぶしつけで申し訳ないんだが君の肌に触れてもいいだろうか?」

 

突然話しかけられ驚いたジェジュンでしたが、『ヴィーナス』にたとえられて悪い気はしません。

「うん。いいよ」

「おお、この張り。このきめの細かさ。内側から光るような白さ。真珠か陶器のようだ。滑らかに水滴が滑り落ちていく・・。

描き出せるだろうか。この質感を・・・」

 

男はつぶやきながら確かめるように少年の腕や背中をなでています。

 

次に続く。