ようこそ
語り部アロマが紡ぐ「来世への約束」最終話第10話聞いていかれませんか?
ユンジェをみていると幸せになってほしいと願う。
なぜこれほど胸が締め付けられるのか。
そこには前世での悲しい物語がひとつ隠されているのです。
森の泉の花畑。
ジェジュンの墓の前でユノが語りかけている。
「お前が神を信じていたら、みずから刃に身を投げるようなことはなかったのか? いや。お前の受けた苦しみを思うと神を信じるのは難しいな。つらかっただろう。すごく、つらかったろう・・・。」
涙がユノの頬を濡らす。
「たった数日一緒に過ごしただけなのに、俺の心に住み着いちまった。お前魔力でも使ったんじゃないか?ホントに天使だったんだろ。
お前ともっと話したかった。同じときを過ごしたかったよ。
生まれ変わったらお前につらい思いはさせない。俺が守る。ジェジュン・・。
もうひどい目にあわないよう俺が絶対守ってやる。約束する。だから、神を信じて・・。俺と生きていこう。お前の笑顔がみたいよ。ジェジュン」
ジュンスが百合の花を携え墓の前に膝をつきます。
「若様。ラファエル男爵ご夫妻は国外に逃亡されました。主人がいないフランスにいるのはつらいので、ジュンスは旅に出ます。お別れに参りました」
祈りがすむと、傍らにいるユノに語りかけます。
「尊ぶべき存在があるから、人は美しく生きようとするのに、
みな平等?民のための革命?寄る辺なき民はジプシーと呼ばれるんだ。自由であることが幸せだと言い切れるのか?
仕えるべき主を失ってどう生きたらいいのか。フランス国民はそのうち悔い改める日が来るだろうね。
ユノ。
森の泉で過ごしたときを覚えているか。
若様の少年らしい笑顔、素直に感情を表す姿は始めて見たよ。
まだ17才なのに、重い荷を背負わされ、つらい日々を過ごされた。
最後は、儚く逝ってしまわれたけれど、
ユノと過ごせた時間は幸せだったと信じている。
私では若様を心からの笑顔にすることはできなかった。
けれど、ユノの前では・・・。それがちょっぴり悔しいよ。」
小さく微笑みジュンスはフランスを去っていきました。
事実、
1793年国王ルイ16世を処刑したフランスは、
3万人を処刑した血で血を洗う恐怖政治の11年の歳月を経て
1804年ナポレオンを皇帝とした王政復古を果たすのです。
最後に出会えた陽のひかりは、生まれ変わったジェジュンを守り導く存在となる。
次なる生で果たすべき宿命を彼とともに、仲間とともに。
「ユノ、約束して。私のそばにいて」
「俺がお前を守る。約束するよ。ジェジュン」
さあ、ここらで物語の幕を下ろしましょう。
それでは、ごきげんよう。