ま、いっか。 (集英社文庫)/集英社¥価格不明Amazon.co.jp言わずと知れた人気作家,浅田次郎のエッセイ。浅田次郎といえば,「勇気凛凛ルリの色」シリーズは私の愛読書のひとつ。元気がないときに読むと元気が出る。読んで読んで読み倒して,最近はちょっと遠ざかっていた。本著は売れっ子になってからのエッセイ。浅田氏自身も「目線が高くなっていないか」と「勇気凛凛~」で危惧していたが,それは危惧でしかなかった。さすがに日本ペンクラブ会長になった今は,相当ことば遣いや話題を考えているようにも思えるが,合間合間にある「お国ことば」の江戸弁での語りに出会うと,ああ変わっていないんだなとほっとする。内容はいわゆる「オヤジの説教」と思われるものがほとんどだが,まったくもって正論ばかりである。思えば,説教をたれるうるさいオヤジの存在はどこかへいってしまった。みな妙に物わかりがよく,争いを避けて無難なことばかりを述べている。のわりには,SNSでは過激な発言や極論を正論と勘違いする発言が目立つ。読みながら,そんなこ とを考えてしまった。「オヤジの説教」は大きなお世話であることがほとんどだが,大人になってみると含蓄あることばだな,とふと思ったりもする。だから自分も同じように説教をたれる。浅田氏のエッセイとは,そういうもののような気がする。
猫屋
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