2021年、4月
彼女はとても綺麗な人だった。
背が高く、華奢で、
色白で整った顔立ちをしていた。
前髪は流行りに乗らないワイドバンクで
ボーイッシュな格好をしていた。
私と彼女は、春
同じ学校に入学したことをきっかけに知り合った。
朝は一緒に登校し、帰りは一緒に下校した。
電車に揺られ私たちはたわいもない話をした。
どんな話か忘れてしまうほどたわいもない話をした。
話すことが無くなると、
お互いにお互いの瞳を見ていた。
彼女の目線は耐え難いほど
真っ直ぐに私を見ていた。
怪しい予感がした。
私は恋をしたくなかったから、
必死に見ないふりをした。
そして彼女のことを警戒していた。
私と同じような匂いがしたから。
きっと彼女にも何かがあるのだろうと。