一昨日、多摩センターで、久しぶりに映画鑑賞をしてきた。観たのは、宮沢りえ主演の、「紙の月」である。なぜこの映画を観に行ったかというと、他に観るべき映画が見あたらなかったからである。
さて、この映画を観ての感想は?……
残念ながら、映画の〈出来〉としては、あまり良くないという感想である。ただ、この映画で、際立っていたのは、〈宮沢りえ〉の美貌である。わたしは、日本映画はほとんど観てこなかったので、宮沢りえが出演する映画も今回が初めてあった。この映画を観て、宮沢りえは、本当に綺麗な女性なんだなあと実感した。
さて……この映画が〈出来〉が良くないなあと感じたのは次の諸点である。
①梅澤梨花(宮沢りえ)と夫の〈からみ(関係)〉が描ききれていない。
平凡で真面目な主婦が、若い男との不倫の恋に走るには、夫に対しての不満(性的)
等があるはずだが、そうした点について、まったく描き切れていない。
②梅澤梨花が、横領などという大それた犯罪を犯す動機、また次々と横領を重ねていく彼女の緊張感・心理、心の葛藤等などが描き切れていない。なんだか、映画を観ていると、たいした罪の意識も感じずに次々と横領を重ねていく、という感じで、嘘っぽい。
③梅澤梨花と若い恋人との〈からみ〉について
二人の出会いのシーンから、不倫の交際を続けていく過程の描き方がなっていない。
濃厚なベッドシーンが何回も出てくるが、不必要であり、安直だと思う。若い男に抱かれている時の表情とか手の動き、歓喜の呟き等を、ちょっとだけ映し出すことによって、梅澤梨花が性の歓びに墜ちていくんだと観客に分からせるべきである。
④その他
梅澤梨花の勤務先の銀行での行動・挙措等が不自然である。普通の真面目だった主婦が〈横領〉という大それた犯罪を犯したのなら、彼女の表情や会話、挙措などにもっと、緊張感、怯え等が出なければ不自然である。
横領がかなりの回数行われたにもかかわらず、銀行内部でそれが途中で露見しなかったのは不自然である。銀行の内部管理体制はもっとしっかりしているはずであり、この映画を銀行の人が観たら、異を唱えたくなるのではないだろうか。
ところで、わたしはこの映画を観るに当たっての予備知識は、主演が〈宮沢りえ〉であり、ストーリーは、銀行内部での横領事件であるということだけであった。原作者も知らず、監督が誰かも知らなかった。映画を観てから、両方を知ったのだが、原作の小説はもっと良かったのではないかと思ったのと、この監督は、まだ監督としては未熟な人だなあと思ったのである。
【解説】
銀行勤めの平凡な主婦が引き起こした大金横領事件のてん末を描いた、『八日目の蝉』の原作などで知られる直木賞作家・角田光代の長編小説を映画化。まっとうな人生を歩んでいた主婦が若い男性との出会いをきっかけに運命を狂わせ、矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に手を染めていく。監督は、『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八。年下の恋人との快楽におぼれ転落していくヒロインの心の闇を、宮沢りえが体現する。
【あらすじ】
バブルがはじけて間もない1994年、銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花(宮沢りえ)は綿密な仕事への取り組みや周囲への気配りが好意的に評価され、上司や顧客から信頼されるようになる。一方、自分に関心のない夫との関係にむなしさを抱く中、年下の大学生・光太と出会い不倫関係に陥っていく。彼と逢瀬を重ねていくうちに金銭感覚がまひしてしまった梨花は、顧客の預金を使い始めてしまい……。
