東経大シンポジウムでの丹羽前大使のしびれる基調講演。


・たいていの学生の関心は、環境やエネルギーや先のことより、目先の就活。みなさんの定年の40年後どうなっているか。今生まれた子供が40歳になる頃、どうなっているか。

・最大は人口問題。食べ物、水、エネルギーはあるか。百数十年幾何級数的に増加。マルサス、食糧は等差級数的にしか伸びない。

・世界は8000万人増え、日本は100万人ずつ減る。中国2000万人生まれる。ネットで700万人増。アフリカの10億人が30億人になり、インドも増える。すると72億人が40年後に100億人。ケニアでは新生児の半分が死ぬ。原因は水。川の水を一日置いてミルクを入れる。これでは死ぬ。

・100億人を食わすのは大変。温暖化で海産物、農産物が変化する。人は食べられなくなったら死ぬ。水、環境変化。かつてインドネシアで密林を開拓し、トウモロコシ畑を作った。ゾウなどの動物、バッタなどの昆虫が襲ってきた。それで諦めた。生態系を壊したということ。農地は6%しか増えない。農薬、種子革命というグリーンレボリューションが人口増から人類を救ってきた。再度できるかというと疑問。今は環境に恵まれている時代で寒冷化や民族大移動も起きなかった。

・何とかなるのか?日本はエネルギーの95%、食糧60%を輸入。小麦1kgに2トンの水、牛肉では20トンが必要で、日本はバーチャルウォーターで水を輸入している。国内で食糧自給ができるかというと琵琶湖の水が直ぐに足らなくなる。メコン流域で、上流のダムを閉めたら下流の水はなくなる。地下水汲めば陥没する。国際紛争になる。自国のみが生き延びるのは不可。戦争をしないことが重要。日中もそうだ。自由と平和を守るべき。けんかする政策はいけない。

・日本の資産は人間。人間のクオリティでは、中国に、世界に勝てる。

・大学生は小金をためずに有り金を使って、自分の頭に投資すべき。これを読んだらよいという本など良薬はない。あったとして副作用がひどい。やりたいことをやりなさい。10年後には絶対やらない。今やること。身体には誰でも3食の食事を与えるが、心に食事を毎日与えているか。これを続けるか否かで20年で差が出る。努力で差が出る。一刻も無駄にしないでほしい。



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■日時・場所
 2015年12月19日(土) 13:00~17:50
 国連大学ウ・タント国際会議場

■地球温暖化とグローバルな取り組み
 基調講演 丹羽宇一郎 日中友好協会会長・前中国大使

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