国民のためのエネルギー原論/日本経済新聞出版社
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http://business.nikkeibp.co.jp/article/book/20131220/257372/

終わらない再生可能エネルギー論争

2014年1月14日(火)

経済学者、政策立案者、エネルギー研究者らが、東日本大震災や東京電力福島第1原子力発電所の事故を踏まえた今後のエネルギー戦略を示す。柱となる再生可能エネルギーの普及、エネルギー消費の削減を提言する。

 参考になるのがドイツ。ドイツは1990年代から段階的に電力市場を自由化しつつ石炭からガスへ、原子力から再生可能エネルギーへとエネルギーシフトを進めた。2000年には再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を導入。エネルギーをより効率良く使うため熱電併給(コージェネレーション)にも取り組んだ。その結果、再生可能エネルギーは2009年には1次エネルギーの9.4%に達し、二酸化炭素排出量は1990年比23%減などの成果を上げている。本書はエネルギー消費を減らしつつ経済成長を図るドイツの事例を参考にしながら、日本での電力自由化や固定価格買い取り制度の設計の在り方を検討する。

 再生可能エネルギーの普及、エネルギー消費の削減を柱とするエネルギー戦略は小規模分散型の新しいエネルギーシステムにつながり、地域の自立、中央集権から地方分権への移行を促す。明治以来の日本の在り方を根本から作り直すに等しいインパクトを持つことを指摘する。