http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131103t45005.htm

秋田県立図書館が、豊富な蔵書で調べたビジネス関連情報を県内企業に無料で提供するサービスを展開している。商品開発やブランド化を支援するのが狙い。依頼は年200~500件に上り、市場調査などの資金やノウハウを持たない中小企業から好評だ。

 支援サービスは2001年、米国の図書館の同様の活動を参考に全国で初めて取り入れた。
 企業から依頼を受けると、職員がビジネス関連本や新聞記事、百科事典などを調べ、情報提供や資料の紹介をする。自館で調べ切れない場合、全国の都道府県立や大学の図書館、国会図書館に照会する。県内の関係機関を紹介することもある。
 能代市の建築会社「寿建築工房」は11年、コメのもみがらを使った建築材「もみがらエコボード」を開発する際、環境に優しい接着剤を調べてもらった。その後、商品化に至り、床材やインテリアに使われている。
 湯沢市のサクランボ生産販売会社「三関加敬農園」は、規格外の大きなサクランボを高級ブランドとして売り出そうと思い立ち、09年と12年に調査を依頼した。
 調査を通じ、江戸時代の紀行家菅江真澄の著書「雪の出羽路」に地域の土壌の良さをうたった記述が判明。同社は商品名とパッケージに菅江の名前や資料の挿絵を活用し、ブランド化に成功したという。
 図書館が調査する内容は、JR秋田駅の乗降者数などのデータ、開店に必要な申請書類の記入方法、類似製品の有無、商品の起源などのブランド化に必要な情報など多岐にわたる。
 寿建築工房の鈴木寿男社長は「小さな会社では調査のための潤沢な資金や時間はないが、図書館は無料でありがたい。職員の説明も分かりやすい」と感謝する。
 山崎博樹副館長は「図書館が金もうけに関わるのはタブーというイメージがあったが、地元企業を元気にするには情報面の支援が必要だと思った。県民の財産である図書をより多くの人に役立ててほしい」と話した。
 サービスは電話やメールでも依頼できる。連絡先は同図書館018(866)8400。


2013年11月03日日曜日