http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110627-00000001-dime-sci
 光合成、つまり植物や藻類などが光エネルギーと水、二酸化炭素から炭水化物(糖類)
を合成し、また酸素を発生させるといった一連の化学反応はよく知られている。ところが、
この化学反応がどういうメカニズムで起きるのか、その全体像についてはあまりわかって
いない。
 今回、神谷信夫・大阪市立大学教授と沈建仁・岡山大学教授らは、光エネルギーから水
を分解して酸素と電子を発生させるという部分の光合成反応の謎を解明した。
 神谷教授によれば、光合成の最初の段階で起きる反応である「電子とプロトン(水素イ
オン)を発生させる」タンパク質複合体の立体構造がわかったそうだ。この部分の構造が、
マンガン原子4個、カルシウム原子1個、いくつかの酸素原子で構成されていることは以
前から知られていたが、今回それが5個の酸素原子を含み(Mn4CaO5クラスター)、「歪
んだ椅子の形」になっていることが明らかになったという。これは立方体に椅子の背もた
れがついた形であり、「このような形のものはまだ報告されていない」(神谷教授)。
 5個の金属原子が同じマンガンではなく(立方体の頂点の)ひとつがカルシウムなので、
その場所に化学的、技術的に「どうやってカルシウムを入れるのかが今後、人工的に光合
成を作り出すための『カギ』になるだろう」と神谷教授は言う。