チャウ・シンチー監督作品『西遊記 はじまりのはじまり(原題:西游・降魔篇)』がいよいよ11月に公開されます。
シンチーは今月22日、配給先となる日活および東宝東和の両長と都内で会見。
そのときのニュースがようやく映画サイトなどで報じられるようになってきました。
今回、配給する日活と東宝東和は、新レーベル「GOLDEN ASIA」を設立するそうで、その第1配給作品がシンチー版『西遊記』。
中国語圏・英語圏ではとっくにDVD化されてしまった作品で内容等も漏れ聞こえてしまっているわけですが、日本では満を持しての公開ということで、まずはティーザー広告っぽい、映画の雰囲気とかは内緒のポスターが発表されています。
キャッチコピーは「とんでもねー! 妖怪娯楽エンターティンメント開幕」とのこと。
このキャッチ、明らかに『カンフー・ハッスル』のときの「ありえねー。」を意識。
うーん、まったく別の作品なんだし、ちょっとどうかしら。
もともと、内容を覆面にしたティーザー広告は中国公開版でも行われていた。
それは、秘密主義のシンチーが、公開の一年前の未完成状態に、期待だけをあおるためにCGとサントラのみのビジュアル映像を動画サイトなどにアップしていたもので、すでにビジュアルが知れ渡ってしまっている日本市場では隠す意味があるのかは、ちょっと疑問だ。
日本の場合、11月の公開まですでに四ヶ月しかないのだから、日本市場でも知名度のある主演のスー・チーを全面に出したメインビジュアルを、ばんばん広告にして、見る人に「お!」って思わせるべきなんだけどね。
さて、今回の配給元レーベルとなるGOLDEN ASIAは、「アジア各国の第一級作品を日本の映画ファンに提供していく新プロジェクト」(以上、映画.comの7/22記事から引用)だそうで、本作のあとは、12月にインドの『チェイス!』、翌年には同じくインドの『Bhaag Milkha Bhaag(原題のまま)』を公開する予定だとか。
こういうレーベルができるって、アジア映画ファンにとって、ものすごく嬉しいことですよ!
最近、日活はインド映画をばんばん配給してくれてたし、東宝東和はブルース・リー映画時代からジャッキーのゴールデンハーベスト作品全般を配給してきた、アジア映画ファンにとっては頼もしい会社。
その二社が、儲かる仕事として「アジア映画」というジャンルで特別なレーベルを立ち上げるってのは我々にとってグッドニュースではありませんか!!
で、その第二作目以降にインド映画を選んだことも必然といえるかも。
だって、香港映画はもはや日本で全国ロードショーしてペイできる作品を質・量ともに作っていない。配給の狙い目は、中国映画あるいは中国・香港合作の大作映画(SFや歴史大作)になると予想されます。
けれど、インド映画は日本未公開の大作のストックが膨大な量だし、毎年毎年1000本規模の映画を作っていて、南アジア、東南アジア市場で話題になる作品が必ず出てくるはずだから。
気になるGOLDEN ASIAレーベルの第二作は、アーミル・カーン主演のインド映画『チェイス!』。
アーミル・カーンは長らく日本では無名だったけれど、インドのみならず南アジアでは三大カーン(アーミル、シャールク、サルマーンの三人)の筆頭と言われる超人気スター。
しかもアーミルについては、日活が昨年三大カーン主演作を立て続けに配給した「ボリウッド4 ザッツ・エンターテインドメント」でも、『きっと、うまくいく』で一番の興行収入を稼いでくれた、いわば注目株。
公開46日目に配給興収が1億円を超えた「きっと、うまくいく」
この『チェイス!』も当然、期待していいはずなんだよね。
『チェイス! (原題:DHOOM: 3)』のメインビジュアル
さて、続くGOLDEN ASIAレーベルの第三作の『Bhaag Milkha Bhaag』は、英語タイトルは「Run Milkha Run」。ラン・ローラ・ランみたいなタイトルですが、インドの実在のアスリート(中距離ランナー)であるミルカ・シンを描いた実話にもとづく伝記映画だそうです。
こちらもインドでの興行収入はもちろん、すでにアメリカでも公開され、最も米国でヒットしたボリウッド映画になるなど、話題作です。
GOLDEN ASIAは表紙一枚だけのホームページ ができていて、まだ現時点での情報は三作品のことしか書いてないのですが、これから配給する作品はここに告知されると思うのでアジア映画ファンは要注目ですよ。