台湾に来ています。
2月27日から台湾で公開中の『KANO』を観てきました!
この作品、日本の報道機関でも公開前から公開後までニュースになっていますね。
「台湾から甲子園 映画「KANO」公開」(NHKの見出し)ですって。
報道の通り、いまからおよそ80年前、日本統治下の台湾で嘉義農林高校(現在の国立嘉義大学の前身)が甲子園の決勝まで進んだという実話をもとにしたストーリー。
日本統治下だから教育も日本語で行われていて、野球の練習、試合も日本語でやってます。
実在の人物で、嘉義農林(=かぎのうりん、略してKANO)を甲子園に導いた近藤兵太郎監督を、演技派・永瀬正敏が演じています。
セデック・バレや海角七号の監督ウェイ・ダーシェンが製作にまわり、セデック・バレに出演していた俳優、馬志翔(マー・ジーシャン)が監督を務めています。
この映画、そろそろ始まる大阪アジアン映画祭のオープニング作品(三月七日)にもなっていますが、聞くところによると既にチケットがソールドアウトとのこと。
へっへ、私なんか日本の映画祭で公開される前に観ちゃったもんね。映画祭に行っても、チケット売り切れで観れないこと考えたら、台湾に来てよかったよ。
もちろん、現地でも大人気で、台北のシネコンでは複数シアターをこの映画にあてて、30分おきくらいに上映していましたよ。
私が観た回も超満員。しかも老若男女が観ていたのですが、映画の性質上はそれほど若い人は多くないかしら、と思ったら全然そんなことはなく、10代くらいのかなり若い層も鑑賞していたことが驚きでした。
KANOのFacebookページによると、台湾を代表する映画人・政治家がこの映画に賛辞を寄せています。
ちょっと引用させてもらうと、
『KANO』上映5日目になります。各界の皆さんから応援していただき、ありがとうございます。
映画界では陳玉勳(チェン・ユーシュン)監督、九把刀(ギデンズ)監督、李烈(リー・リエ)プロデューサー、林書宇(トム・リン)監督、侯季然(ホウ・チーラン)監督、政界からは台北市長郝龍斌(ハオ・ロンビン)、嘉義市長黃敏惠(ホアン・ミンフイ)、高雄市長陳菊(チェン・ルー)、前副總統蕭萬長(ワン・チャン)各氏などから推薦をいただきました。
許銘傑(シュウ・ミンチェ)選手は招待されたワールド・ビジョンの子ども達と一緒に映画を見て「泣いた!本当に意義深い映画です。私に野球の初心を蘇らせてくれました。そして闘志をもらいました」と絶賛。
もう一度、皆さんの応援に心から感謝します。果子電影はこの物語を更に多くの人々に知ってもらえるよう引き続き努力していきます。(以上、「KANO」公式Facebookページより)
けっこう有名な監督が賛辞をよせていて、ギデンズ監督なんて最近自らのネット小説の監督をした「あの夏、君を追いかけた」が大ヒット。日本でもミニシアター系で公開されてますね。
実際の観客動員とかはまだ上映5日目でわからないけれど、肌感覚ではものすごい人気と感じます。台湾の普段は映画を観ない友達も、この映画だけは見に行こうとしていたしね。
これだけ当地で話題になっているし、きっとアジアン映画祭では多くの映画好きたちが鑑賞して日本語でも「すごい」「感動した」って声が出てくるとは思うけれど、私もあえて声を大にしていいたい。
この映画、日本人だったら観るべきです!!
だってさ、台湾の発展に心血を注いだ日本人の話は、八田 與一(八田与一)さんの逸話を挿入させることで代表させているんだけれど、この農林高校にとっては重要な嘉義地区の農業水利工事に技術面から大きな貢献をして、台湾(とくに台中)の人にとって偉人的な扱いをうけている、この八田さんを日本人のどのくらいの人がしっているかしら?
きっと知らないでしょ!
こういう台湾の発展に重要な役割を果たした日本人、そして台湾から甲子園に出て決勝まで進んで当地の高校生に大きな夢と勇気を与えたであろう高校が存在したことを知っておいて損はないはず。
物語としては、親日国・台湾にとっての日本ネタであること、そして野球好きの台湾人の心をくすぐる球児ネタであること、そしてここまで台湾原住民(漢族と先住民を含む)のネタをていねいにあつかってきたウェイ・ダーシェン作品であること、などなどとヒットする要素を完璧に備えた作品で、泣けるシーンと笑えるシーンにあふれています。
日本統治下なので映画全編にわたって日本語で物語は進みますが、漢族と高砂族(日本からみた場合の原住民の呼び名)が会話するシーンでは台湾語がつかわれています。
台湾で映画をみているのに、字幕を読まなくても映画がわかるという不思議な体験をしました。
字幕のほうが先に読まれてしまうので、私が笑う前に台湾の観客が先にどっと笑っちゃうので、少々悔しかった(笑)。。。
有名な俳優は主役格で甲子園への導き手となる近藤監督役の永瀬正敏を除き、まったく出ていません。
八田与一役の大沢たかおも出番はわずか。近藤監督の女房役は坂井真紀ですが、こちらもそんなに出番は多くありません。
個人的にツボだったのは、甲子園で嘉義農林のエースである呉投手のライバルを演じる札幌商業のエース錠者博美を演じた日本人俳優・青木健。彼、とっても味があった。
もちろん永瀬正敏もよし!
一緒にみた友人曰く、永瀬の演技がとても良くて「永瀬ってこんなにいい俳優だったんだ!」だって。永瀬映画好きの私は永瀬さんの実力は十分知ってたから、安心してみていて、ほかの俳優さんに目がいっていただけです。。。
この映画のレビューはストーリーにかかわることはまだ公開前なので書けないのですが、日本人なら観るべきってことに尽きるかな。だって台湾でこんなに多くの人が観ている作品だし、実際とても感動する作品なんだもの。
さーて、いつころに日本で公開にあいなるか。
今年の台湾興行収入ナンバーワンはおそらく間違いなし。配給会社は自信をもって獲得すべし。。。