ここんとこ忙しくて映画を見ていない。
そうすると、ブログの更新が滞る。
しかし、一応、一週間に一度更新が最低目標なので、なんとか書く!
となると、映画レビューでなく、企画記事になるんだなぁ。
前回、男装の麗人がうんぬんなどと書いたので、その関連の情報を書こうと思う。
(思いつき企画でスンマセン)
さて、男装の麗人と言えばこの人、台湾出身のブリジット・リン(林青霞)。
今回はこの人についてぜひ書きたい。
ブリジット、日本ではジャッキー・チェン(成龍)との共演で最初に有名になったと思います。
画像は、『ポリスストーリー(原題:警察故事)』(1985)より。
ポリスストーリーは日本でもヒットしたし、ブリジットの出番も多かったけれど、最初の共演はその三年前の『ドラゴン特攻隊(原題:迷你特攻隊)』(1982)。
なんともすごい面子のとり合わせ。
この頃は、ジャッキーはジミーさんに頭が上がらなかったんだよね。
ロー・ウェイ・プロダクションから、ゴールデン・ハーベストに移籍する際のいざこざを、黒社会にも顔が利くジミーさんがとりなしたとかで。
そのため、このドラゴン特攻隊も酷い映画なんだけど、ジャッキーはジミーさんの命令ならばってことで、ゲスト出演しています。
ブリジットは、たいそうジミーさんに気に入られていたそうで、それで出演しているのだけれど、映画自体の出来が酷いものだから、みんなブリジットが出ていたことを忘れていると思う。
おまけに、ゲスト出演のはずのジャッキーが、さも主演であるかのように日本では公開されてしまったから、さぁ大変。
ジャッキー目当てで映画を見に行った少年少女たちは、映画がはじまっても、ジャッキーがなかなか出てこない状態にヤキモキさせられっぱなし。
おまけに同時上映が『唐獅子株式会社』。
少年少女にとっては、全くどうでもよい作品で、エラい目にあったっけ。やってくれるぜ東映め、って感じ。
さて、それはさておき、ブリジットの男装を集めてみましょう。
以下、公開年は全て香港のもの。
『北京オペラブルース(原題:刀馬旦)』(1986)より。
これはビデオジャケットから。この映画での凛々しい演技で、男装の麗人ならブリジットって評価が定まったんだよね。
だけれども、後の1990年代初頭、男装ならこの女って評価を、さらに発展させる当たり役に恵まれていきます。
<古装片+男装>というブリジットにしか出来ないような役柄が定番化するのです。
たとえば、『ドラゴン・イン(原題:新龍門客棧)』(1992)。
男装というか、男勝りの剣士と言った方がよいでしょうかね。
さらに、『スウォーズマン/女神伝説の章(原題:笑傲江湖之二 東方不敗)』(1992)
上のキャプチャはまさに、少数民族である苗族の武装宗教「日月教」教祖の東方不敗が、映画の冒頭に登場するシーン。
この時点では男なんです。
それが、秘術「葵花宝典」を身につけ、その完全な体得のために去勢をすると、みるみるうちに女の身体に。
同じ映画の中盤のシーン。
この段階では、まだ声変わりをしていないので、男とも女ともつかない不気味な声を発しています。
ところが、しゃべらないものだから、ここで初対面することになる相手役で主演のジェット・リーは、姑娘(日本の字幕では「お嬢さん」)などと呼びかけています。
ほんで映画の終盤。
もう、ジェット・リーを自分のモノにする気まんまん。
このスォーズマンという映画。日本ではそれほどのヒットではなかったけれど、中華圏ではものすごいヒットを記録し、以降のブリジットは似たような映画にガンガン出演させられています。
もともと、原題にもあるように、この映画自体が笑傲江湖という映画の続編なんだけど、東方不敗というキャラが大当たりしてしまい、敵役であるそいつ(最後にジェット・リーたちに破れて死んだことになっているのだが)を主役にした続編『スォーズマン/女神復活の章(原題:東方不敗 風雲再起)』(1993)まで登場。
原作者の金庸が書いた小説「笑傲江湖」には、東方不敗は登場するけれど、この風雲再起は完全に映画オリジナルの話になっちゃっている。
もっとも、金庸自身は、東方不敗を女性が演じるということに反対だったらしいけれどね。
まったくの参考資料だけど、原作者が想定する本来の東方不敗はこんな感じなんだと思われます。
「秘曲 笑傲江湖〈第6巻〉妖人東方不敗」
1998年に徳間書店から刊行された「秘曲 笑傲江湖」の一冊。
本来の設定はオッサンなんだよね。だから、去勢しても美女にはならんでしょ。
けれども、あのブリジットが演じた役は強烈だったようで、その後に笑傲江湖はテレビ化もされているけれど、演じるのは女性です。
さてさて、話をブリジットへ戻します。
彼女の男装古装片と言えば、これを忘れてはなるまい。
『楽園の瑕(原題:東邪西毒)』(1994)。
製作に何年かかかったんだか定かではない。まぁ、それはいいか。
この映画でブリジットは、双子の兄と妹という一人二役を演じています。
ですが、実際には、兄がいるというのは、妹の幻想(というか、幻想である時点で妹ではないのだが)で、精神分裂気味な女が、二重人格によって生み出した男キャラです。
香港映画に詳しい人は知っているかもしれないけれど、チャウ・シンチーの『チャイニーズ・オデッセイ/Part2 永遠の恋 (原題:西遊記大結局之仙履奇縁)』(1995)で、アテナ・チュウ(朱茵)が双子の仙人の役を演じていて、それが一対の肉体に宿っているために、昼と夜で人格が入れ替わるというシーンがあるけれど、あの設定は、この『楽園の瑕』のブリジットが演じたキャラのパロディです。
しかも、アテナが演じた双子の仙人の役名は、チンハ(青霞)とジーハ(紫霞)。
そう、ブリジットの中国名であるリン・チンハから取られています。漢字もそのまま。青と紫で対になっているのも洒落らしい。
ところで、『恋する惑星』(1994、原題:重慶森林)の金髪女あたりが最後の作品になって引退状態のブリジットだけど、最近はちょこちょこメディアに登場し、復帰説や有名監督や俳優からの復帰のラブコールも多いとか。
あの一代宗師に出るとかいうニュースもあったけれど、これはどうかなぁ。
それにしても、ウォン・カーウァイよ、ちゃんと撮影は進んでいるのかい?
ブリジット姐さんを銀幕に出演させてくれるのはうれしいが、彼女もいい歳だから早くしてね。
最後にカーウァイとブリジットの2ショット。復帰話のもとになった記事より。
私は大ファンです。
あ、彼女の男装の映画はもっとあるんだけど、有名どころはおさえたから今回はこのへんで。
というわけで、男装の麗人:ブリジット・リン特集でした。