よみうりオンラインより。マックも全面禁煙にしたんだね。知らなかった。
禁煙・分煙は外食産業にとって諸刃の剣だ。
神奈川県はこの春、一定規模の飲食店やホテルなど公共的施設内の喫煙を規制する受動喫煙防止条例を全国で初めて施行した。
条例の趣旨は、昨今問題となっている副流煙の被害防止。日本マクドナルドは県内店舗の全面禁煙を実施し、ロイヤルホストも飲食スペースの禁煙に踏み切った。しかし、多様な業態と顧客を有する外食産業界では、話は簡単ではない。主流客が喫煙者・愛煙家のバーや居酒屋もある。分煙スペースを造る物理的・資金的な余裕のない小規模店も少なくない。同様の条例で続く自治体も予想される中で、全国の飲食店経営者が少なからずパニックに陥っているというのが現状だ。
タバコは嗜好品だ。好む人もあれば好まない人もある。フードサービス業界は、顧客のえり好みにつながるこの条例とどのようにつきあっていくのか?この問題は今後の業界の健全な発展を考える際に、嗜好の一言では片づけられない。経営者たちに苦しい決断を迫っている。外食産業が提供するサービスの大きな要は、様々な嗜好を持つ人々が快適に楽しめる場を創り出し、それによって活気ある街作りを発展させることにある。
筆者はこの条例制定の噂が出たころから、様々な業界のトップリーダーと呼ばれる経営者たちと議論をかわしてきた。今後は“煙マター対策”が、外食ビジネスで重要な役割を果たすだけでなく、新たなマーケットの展開を予想したからである。
ここでいくつか、受動喫煙をめぐる動向と、フードサービス業の立場からの対応や見解について、過去のインタビューから印象的だったものをご紹介する。まずは業界歴20年、10店舗を経営し、プロデュースも幅広く手掛ける年商20億円のA氏の意見から。
「飲食業界を支えているのは、中小零細企業です。そうした飲食店こそが“街の色”をつくってきた。街を彩ってきたこれらの店が、“分煙・禁煙”問題で頭を抱えているのです。神奈川県のような条例化が広がれば、街を彩ってきた店はつぶれ、画一的なチェーン店だけが残るのではないでしょうか?」
業界歴10年強、行政ともコラボレーションを展開している国内外40店舗経営、年商60億のB氏からはこんな意見が出た。
「神奈川県の条例では、“分煙”もしくは“禁煙”のいずれかの選択について、店舗面積100平方メートル(33坪)を境に“義務”と“努力義務”に分かれます。実際は35坪くらいの店舗もたくさんあるわけです。飲食店ほど多様な業態をもつ業種はないのですから、実態を見ずに一律に法規制することに疑問を感じます。さらに、本質的な問題として、飲食店は果たして“公共的施設”と言えるか、という反論もあります。飲食店はあくまでも“嗜好性という要素”が強い施設だと思えるからです」
両氏は異口同音に語る。
「受動喫煙防止については、タバコを吸う人、吸わない人、そして、飲食への嗜好の多様性などのバランスを考えて議論してほしい」
ホテル及びレストランというフードサービスを提供する企業の立場と、そこで快適なときを過ごすのに歓びを感じる多様な顧客の立場(法律を施行する側の方達も含まれる)。この双方に配慮し、現実味があり、バランスのとれた“受動喫煙防止策”を模索することが強く求められている。
このため、外食産業界をリードする経営者たちによる「外食産業分煙対策勉強会」が2010年発足した。筆者も参加するこの勉強会は、セミナーを通じて、分煙のあり方や集客のメリット、リスクヘッジなどを考えている。今月も際コーポレーションの中島武氏を招くセミナー
を名古屋で開く。顧客離れの恐怖から、分煙対策に踏み切れない店舗も多いと聞く。経営の選択肢の幅を広げるため、何が可能でどのような方法があるのか?飲食店経営の先人に話を聞く。
外食産業のさらなる発展を願う筆者としては、法と世論と経営のはざ間で悩む飲食店の方たちに、ひとりでも多く、有益な選択をしてもらえたらと思う。