5月21日は金環食ということだが、京都でも上京区以南はみられるらしい。出勤前に見られたらちょっと見てみようとは思う。というわけで、日食観測フィルム(自作)を用意した。
それで思い出したことがある。
以前カメラ屋の店員をしていたときのことだが、けっこう大きく欠ける部分日食があって、日食グラスがめちゃくちゃ売れたことがあった。かかってくる電話はほぼすべてが日食グラスの問い合わせで、たいていは在庫の有無だったが、なかには毛色の変わった問い合わせもあり。
内線電話が鳴る:
「はい、カメラ売場、cigfranです」
「あ、外商○部の※※です、お世話になります。えー、日食見るメガネ置いておられますか」
「ああ、はい、ありますよ」
「それって、どういうものなんですか」
「えー、太陽は直接見ると失明の危険もありますし、紫外線とか赤外線みたいに目に有害な光もありますので、そういう光をカットするためのものですね」
「あっ、それやったらUVカットのサングラスでもいいんですね」
絶対ダメです。
交換台から、日食グラスのお問い合わせです、とつながれた電話:
「お待たせいたしました。カメラ売場、cigfranと申します」
「ちょっとお尋ねします。こんど日食がありますやろ、あれのときにかけるメガネ置いてますか」
「はい、ございます」
「今度の日食て、10時ごろですやろ、その時分にどうしても出んならん用事がありますんやけど、それかけて外出したら大丈夫いうことですな」
「・・・・・・は?」
「日食のときに、外歩かなあかんのですけど、その日食用のメガネをかけといたら、目を保護できるいうことですやろ」
『地球が静止する日』かなんかとお間違えですか。そんなもんかけて歩いた日には前見えません。
ほかの売場から、お客様を案内してきたおばちゃん販売員、用もないのに帰らないと思ったら:
お客様:「これで日食見るんですか」
わたし:「左様でございます」
お客様:「よう見えますか」
わたし:「あっ、そうでございますね、」
(わたしをさえぎるように)おばちゃん:「わたしねえ、この前これかけてみたんですよ。キレイに見えましたわ」
わたし:「・・・・・・太陽見はったんですか?」
おばちゃん:「太陽? 見てないです」
教えてくれ。キレイに見えたのはいったいなんだったのか。
別のおばちゃん販売員が、忙しいさなかに寄ってきて:
おばちゃん:「あたしさあ、こないだコレ買ったんだけどさあ、コレで日食みたらいいんだよね?」
わたし:「そうです」
おばちゃん:「でさあ、コレかけて、こうやって(カメラを構えるジェスチャーをする)太陽撮れるよね?」
レンズが無防備ですよ。
そうこうしているうちに、日食グラスは売り切れた。
交換台から:
「交換台です。日食グラスは売り切れとお伝えしましたが、『太陽メガネ』はあるかとのお問い合わせです」
同じものです。
21日、晴れるといいな。




















