westgert2.jpg  石田衣良「少年計数機-池袋ウエストゲートパーク〈2〉」(amazon


データ:文藝春秋/\570(税込)/ハードカバーも有/池袋ウエストゲートパークシリーズの第二弾

ストーリー:果物屋の店番をしながら、池袋の灰色ゾーンを出入りする真島誠。軽く、鋭く、情に厚く、もってこられた事件たちを解決しようと奮闘する、ストリートミステリー。


レビュー:★★★★☆…形式は変わらず、誠が持ってこられた事件を色々な手段で解決していくもの。一巻でサブキャラ並みに出ずっぱりだったキング(タカシ)も、今回はそんなに大きな活躍はなかった、かな。マンネリ化する事なく、しかしある一定のテンポを保ったまま物語を展開させていくのは見事だなあと思います。

一般人(?)には想像のつかない、かなり重い話題を扱った話が多いながら、彼らはその中で暮らしているのだという事が、誠の口調でよく分かったので、読ませることが出来た。ここがやっぱり他の本とはちがうなと思う。何と言うか、生まれたときから目の見えない人に、大変だねというのに似ている感触が、ないと思う。

読後感は爽快で、とてもよかった。

youmaydie  森博嗣「夢・出逢い・魔性」(amazon


データ:講談社文庫/\700(税込)/新書版も有/森博嗣・Vシリーズの4作目

ストーリー:クイズ番組に出るために、東京のテレビ局に行く香具山紫子達。リハーサルの途中、隣の部屋でディレクターが殺された。密室で、銃声は二発なのに傷跡は一つ。20年前の恋人の幽霊とは?事件の直前にいたタレントの少女はどのように関係があるのか?Vシリーズ第四弾。


レビュー:★★★★☆…画像が見えれば分かると思うのですが、この作品の一番(?)の魅力はやっぱりタイトルだと思います。それだけで、星をつける価値があるほど、素敵だと思う。そして、ただ掛けてあるだけではなく、それ一つ一つにちゃんと意味がある。凄いなあと思います。ストーリーの方も、普通に面白かった。あんまり身近な感じの話ではなかったけれど、現実味があればそれが面白いと言うわけでもないし、こういう感じも良い。推理小説は、最後に謎が解けてスッキリするのが良い!と言うのがあり、私もある程度はそれを望んでいるわけではありますが、Vシリーズは何より過程が面白い。読者を飽きさせないと思う。勿論それはキャラの資質も相当に関わっていると思うけれども。だけど、有栖川先生なんかの話はそういう「だるい」感がちょっと付きまとうので、森先生は凄いと思う。ただ、犯人像は余りにも突飛過ぎたような気がする。なんだか、裏切られてしまった。

moeyoken  司馬遼太郎「燃えよ剣・上」(amazon


データ:新潮社文庫(改装版)/\700(税込)/下巻有

ストーリー:元々は田舎侍、後京都に出て新撰組の副長として近藤と新撰組を支えた土方歳三の生涯を描く。誰もが知る幕末物の名作。


レビュー:★★★★☆…評判には聞いていたのですが、本当に面白かったです。うん。私は新撰組では土方さんが一番好きというわけではないのですが、面白かったです。何処となく人間臭さがあり、それでいて格好いい。所々に出てくる沖田君の飄々とした感じも好きです。いいコンビだと思います。又、当時の時代の感じが分かりやすく、空気で書いてあってよかった。武装組織を作る事も、幕末の制度も、知識として知ってはいても殆ど知らないのと同然で、そういう良く分からないところが何となく分かったような感じがする。だから、土方さんの凄さもわかると言うか。とはいえ、芹沢暗殺等、色々と飛ばされたシーンも幾つかあった事、近藤さんのキャラが個人的に受け付けなかった事などがあって星はひとつ引いてあります。燃えよ剣には本当に土方さんの事しか書いていなかったけれど、時代物と言うのは、大抵こんなものなんでしょうか。良く分かりません。


……余談ながら、「燃えよ剣」が「萌よ剣」で出てきたときは最初本当に引きました。自分に。嫌になっちゃうなあ。


the sound walks.   森博嗣 「月は幽咽のデバイス」(amazon )


データ:講談社文庫/\660(税込)/新書版も有/森博嗣・Vシリーズの3作目

ストーリー:狼男が出ると言う噂の立派な屋敷・篠塚邸。そこで起こったパーティで、密室殺人が起きる。偶然その場に居合わせた、保呂草と紅子が導き出した真実とは?


レビュー:★★★☆☆……キャラが好きなので、とりあえず内容を置いておいても面白く読むことが出来ます。森先生のいいところだとも思う。多分キャラ作りという面においては、S&Mシリーズよりも上手くいったんだろうな。余り悪意のあるストーリーではない筈なのに、所々に垣間見える恐怖のようなものがなんともいえない。森先生の偶に垣間見える、ふわふわした感じの描写がとてもすきだ。ただ、結末の方は、予想できなかった事とはいえ、余り驚きはしなかった。ドキドキと言う点では、余りそれを感じなかった気も。そして、とにかく、紅子さんや保呂草さんが何を考えているのか分からない。他の登場人物が割と分かりやすい性格をしているのに比べ、この二人の謎加減は半端ではないと思う。そういう感じも勿論好きではあるけれど、その二人をメインにストーリーが進んでいくと、やっぱり最終的について行けないところがあるのかもしれないなと思ってしまった。