もしもカラスと話せたら

もしもカラスと話せたら

カラスと友達になりました。空ばかり見上げていた この日々を忘れたくなくて。

カラスは1羽ごとに違う声を持っている。


あの特別な個体の声だけが私を呼び出す。

あの声だけはわかってしまう。ねぐらの森からの小さい声でも聴こえてしまう。

あの声さえ覚えなければ、カラスが鳴いたくらいでこんなに心が掻き乱されることはなかったはずだ。

あの声を知らなければ、鳴き方の高低とリズムを真剣に追い、その意味を考えることもなかった。


カラスと人間は感情のやりとりができる。意志の疎通が可能だなんて考えてみたこともなかった。


あの子が鳴くと私はカーテンをかきわけ、今日も急いでベランダに出てしまう。

まっすぐ飛んできて、くるっとまわり浮力を使ってストンと留まる。

優雅な構造色のつやつやの羽で。

愛しい黒の特徴ある声の主が。

Amebaでブログを始めよう!

ベランダに立つとちょうど目の高さに大きな倉庫の銀色屋根が広がっている。ベランダと銀色屋根までは10メートルほどあり、間にうちの植栽とアイビーがひとかたまり、その向こうに銀杏の小道を挟んでいる。人通りのない散歩道だが街灯があり、朝方など雀やセキレイが止まっているのをよく見る。街灯の背がたいらで安定感があるのだろう。

 

 

今日もカラスが銀屋根に来ていた。おそらくハシボソカラスかな。カァカァとは鳴かないし嘴がシュッとしていてスマートだから。

 

 

ネットでカラスを検索したらトップに来たのが「マリア・カラス」だった。私は音楽学部器楽科卒だからGoogleが忖度してくれたのだろうか。(ただ忖度という語を書いてみたかっただけですすみません。)マリア・カラスで検索したことあったからですね。