我が部には、「アナリスト」がいる。私もそのうちの一人だ。2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した裏側には、「アナリスト」のサポートが大きく影響していたと眞鍋監督ものちに語っている。一口に「アナリスト」といってもいろいろな「アナリスト」が存在しているし、存在していていいとも思う。今回は、我が部の「アナリスト」についてと、私の理想のアナリスト像を描いていこうと思う。

 

 先輩のアナリストがいる。この人はVリーグのチームで約1か月活動した経歴を持つ「エリート」といってもいいだろう。しかしこれがポンコツだ。アナリストの仕事の一つの「収集」の部分つまり「データ入力」はまずまずだが、「分析」、「伝達」の能力が皆無だ。選手とのコミュニケーションが取れないなんてお話にならない。それに加え選手に映像を見たいと頼まれても面倒だったり、気分が乗らないときはうその口実をつけて断る始末だ。おまけに「アナリストがいるのに優勝できないなんて信じられない」などと選手の目の前で言ったりもする。我が部のアナリストは年功序列のシステムでやっているため、こいつが実際トップでチームの情報戦略を行っている。そんなんで勝てるわけがない。

 

 少しここでまとめてみようと思う。

我が部での「アナリスト」の役割

1.試合撮影

2.データ収集

3.分析(対戦チームの分析のみ)

4.毎日の練習の映像をフィードバック

5.試合前に戦術ミーティング

 

一見多いように見えるし長いことこのシステムでやれている。しかし勝てない。いったい何がいけないのだろうか。1年半私はプレーヤーをしていたため外から見ていておかしいと思ったことを挙げていきたい。まず「撮影」「データ収集」に関してはだれがやってもそんなに差は出ないだろうし対して文句はない。次に「分析」。上記の3で述べているが、対戦相手の分析しかしない。もちろんそれも必要なことだ。しかしそれだけでよいだろうか。わたしはそれよりも自チームの分析のほうが大事だと思う。なぜならば、対戦相手は毎回変わるからだ。大事なのは自チームの技術力や地力の底上げだ。そのためには自チームの分析ひいては個人を分析し、「手本となる映像」や「情報」をもっと発信していくべきだと思う。我が部のアナリストは、選手側からのアプローチがないと動かないし、データや映像を見ることに無関心な選手に対しては、「やる気がない」などとののしる始末だ。私はそんな無関心な選手たちにいろいろな方法でアプローチし、興味関心を持たせるのもアナリストの醍醐味だと思う。次は4の毎日の練習のフィードバックについて。我が部では毎日の練習を「カコロク」や「ビデオでの撮影」でフィードバックを選手に行っている。しかしそれもただ映像を渡すだけ。それで彼ら(アナリスト)は満足している。しかし、選手は自分の映像しか見ない。もし映像を渡すとき一緒に手本となる映像(実業団・海外のクラブ等)を渡せばどうだろう。選手は自分のプレーと目指すべきプレーを比較することができ、自分に足りないものが明確になる。「頑張る」「一生懸命やる」これは大切なことだし必要だ。ただやみくもにただ頑張っても遠回りになってしまう。よく「成功に近道はない」というが、「近道」はあるし目標を失い迷走することもある。そこで目標を提示し「頑張り方」を提供するのも大切な「アナリストの役割」だと思う。最後に「ミーティング」我が部のミーティングはひどい。これに関しては選手からも多くの批判がある。ミーティングの流れはこうだ

1.スカウティングレポートを配る

2.相手のローテーションごとのレセプションアタックのえいぞうを流す

終了

 

これだけだ。選手は映像も無言で永遠に見せられる。ひどいときには一日の練習試合のスパイクをすべて見せられた。もちろん眠くなる。寝る選手もちらほら。(寝る選手がいても自分らのミーティングのせいだとは思わずにやる気がないと切り捨てる)もちろんたくさんの映像を見せたいのはわかる。でもできるだけ取捨選択して、分かりやすくする工夫をして見せることが必要だと思う。大事なのは、ミーティング後、選手の中にどれだけの伝えたかったことが残っているか。伝えたいことを全部残すことは難しいだろうが、その努力はするべきだと思う。

 

これが我が部におけるアナリストの役割だ。次回はここに書いたことも踏まえて、本題、「理想のアナリスト像」に入っていきたいと思う。

 

K.K