現在、私は普段から行きなれた街なんばにいる。
なんば駅直結のショッピング街にあるスターバックスで珍しく、あたたかいカフェモカをすすりながら、単行本の文学小説を読む。
ここで、ある人を待っている。
時間は昨年までさかのぼる。クリスマスも終わり、世間は師走まっただ中。
忘年会シーズンもひと段落。うちのアトリエも仕事納めをして、いつもはさぼりがちな大掃除を今年はちゃんとやってみようかなどと妄想する。
基本的には私のアトリエ大掃除は隔年である。絶対やると決めると、あまのじゃくな私の腰は重くなるのだ。
そんな年末の静かな夜。食後にチープなインスタントコーヒーをすすりながら、インターネットに目を向ける。
聞きなれない方のメール着信音が鳴った。
仕事専用のメールアドレスを取得し、最近問合せメールのアドレスを変えたのだ。
広告メールも多いので、やれやれと思いつつメールを開く。
件名に「はじめまして」とあった。
メールの内容は、オーダーメイドジュエリーについてのお問合せだった。
少し胸が高鳴る。
オーダー依頼の問合せは、飛び上がりたいほど嬉しい。そして幸福感に満たされる。そんな独特の高揚感をほのかに感じてドキドキワクワクしながらタブレットでメールを開いた。
・・・
こんばんは。はじめてメールいたします。
もう2年ほど前になるでしょうか?イベント出展されている際、ブースでお見かけし、それ以来SNSやブログをいつも楽しく読ませて頂いております。
このたび、予てから考えていたオリジナルジュエリーをぜひYucaさんに制作していただきたく、メールにてご相談いたしました。
イベントでは、お客様も溢れており、お声掛けすることはなかったので、もしかすると面識はないと思います。
お返事おまちしております。
かすみ
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かすみさま
はじめまして、こんにちは。
Yuca Moritaの森田と申します。ご連絡大変うれしく思います。
もし、よろしければ一度お会いして、詳しくお話聞かせて頂けないでしょうか?
…
・・・
こんな感じのメールを返し、その後何度かやり取りして打ち合わせの日にちを決めた。
なんとなくだが、かすみさんは何か新しいスタートをきるような節目なんではなかろうか?と思った。
少し早めに家を出た私は本屋に寄り、予てから読みたいと思っていた夏目漱石の小説を、何となく装丁だけで選んだ。いつも通りやや混雑したなんばのスタバで、心を落ち着けるように本を読む。小さい文字で敷き詰められた、美しく滑らかに表現される文章を目で追いながら、意識は今から会う女性に飛んでいる。
先方が私の顔を知っているので、向こうから声をかけてくるだろう。でも、私はなんとなく先に一目で当てる自信がある。
単行本から少しだけ目を話、タブレットで時間を確認し、ぼんやりと外の通りを眺めた。少し、緊張している自分が、いつまでたってもおかしいなぁと思った。
続く→ 第2話
※この物語はフィクションです。
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