こんにちは。アナなるドットコムの加藤暁です。
先日の アナウンスカレッジGPLUS の授業で、
「面接練習をします!」と言ったところ、一瞬にして顔が曇った生徒さんがいました。
ゼミ合宿やスクールの休講日とも重なり3週間ぶりの出席だったこともありますが、
見るからに自信がなさそうでした。
そこで僕が言ったのは 『切り換え』
スポーツ実況では、中継の冒頭では気の利いた言葉から始まりたいという意識がアナウンサーの中にはあります。
きのう僕は 今季のプロ野球ちょうど70試合目の実況(西武×楽天)の仕事をしてきましたが、ほとんどはそこまで冒頭部分にはこだわらなくていい試合です。
しかし、今のように優勝争いをしてくると、ここはバシッと決めて中継をスタートしたいという思いが強くなってきます。
サッカー実況のカリスマといわれたNHK山本浩アナウンサーの、
「東京千駄ヶ谷の国立競技場の曇り空の向こうに、メキシコの青い空が近づいてきているような気がします」(1985年10月26日、W杯メキシコ大会アジア最終予選・日本対韓国)
という冒頭のコメントは、僕は実際には見ていませんが、実況アナなら誰でも知っている有名なものです。
それくらい、その時の空気感にバシッとコメントが決まると、視聴者に共感を与えます。
その冒頭コメントは、実況アナウンサーの中でもふたパターンに分かれると思います。
前夜から練りに練って文章を考えるタイプ。日テレにありがちなスタイルです。
その場で雰囲気を見て、インスピレーションで発するタイプ。山本アナがそうかどうかはわかりませんが、中継の中でも視聴者の感動を呼ぶフレーズがあることを考えると、ひらめきが多くを占めていると思います。
僕は すばらしいひらめきはありませんが、基本放送の5分前くらいからその日の雰囲気とか含めて考え始めます。その意味では後者のスタイルです。
ただ、いいコメントが浮かばない時もあるんです。または途中まで浮かんで、締めの言葉がうまく思いつかず焦ることも。
あるいはその時の画面の絵作りによって、オンエアと同時に違う言葉から入っておいた方がいいケースもあります。
そういう時に 『切り換え』が大事なんです。
若いころは、直前まで浮かばずにあせって、そのままオンエアに入り、しっちゃかめっちゃかのスタートになってしまうこともありました。スタートにつまづくと立て直すのに時間がかかります。
いつの日か、浮かばないならそのままいっちゃえ!と覚悟を決めるようになりました。
そうすると、不思議といいコメントが浮かんだり、画面の絵の切り替えに合わせてすらすらとコメントが口をついててできたりするんです。
切り換えができない = 心配事を抱えたままスタートする ということです。
面接も同じで、受け答えをどうしようかとか、ある質問についての答えがまとまっていないとか、不安な要素ばっかりが頭を占めていると失敗しやすいです。
むしろ今あるもの、自分の頭にあるものしか出せないんだから、くらいに割り切って臨んだ方が、心の中から言葉を発せる分、相手にあなたの気持ちや熱意が伝わります。
できないことに対して反省せずに気持ちだけ切り換えるというのはよくありませんが、面接やカメラテスト本番は、今の自分しか出せないんだからと「切り換え」て臨むようにしましょう。
そしてその「切り換え」の行為自体が、アナウンサーにとって求められるものの一つです。
ちなみにそのスクールの生徒さんは、しっかり切り替えて、声も出て、なんとか自分の言葉でしゃべろうと頑張っていましたよ。