わたしは、4月生まれ。
同級生の中でも、人知れず、真っ先に歳を増すことが出来た
故の、
特権が、裏目に出たときの、はなし。


R指定の映画を、
観られるという理由だけで、
よく考えずに、
なんの心構えもなく、
「バトルロワイアル」を、
劇場に、一人で観に行った。
そして、わたしは、
劇中、死ぬかと思うほどの衝撃映像を喰らった。
人間がポイポイ死ぬ映画が苦手だ、
そして、
逃げることも出来ず、
ようやく失神せずに映画は終わった。
何も残らなかった。
ただ、わたしの右腕は、
わたしの歯型が一日中取れないほど残った。
わたしは、痛みを感じる描写が本当に苦手だ。
作り物だと判っていても、
映画 バトルロワイアル は、
当時15歳になりたてのわたしには、
暴力的衝撃以上のストーリー性、
メッセージ性 が、全く残らなかった。
いっぱい人間が殺し合って、
訳も分からず、惨たらしく死んでいく。
わたしは、痛みを感じる描写を観たとき
自分の右手や、右腕を 噛んでいる
という癖に、
初めて気がついた。
紫色になるほど、無意識的に、
わたしは、自分の腕を劇中、ずっと噛んで
よだれもどぅらどぅらで、
多分、足もバタつかせていたと思う。

だから、本当に 観たい映画 は、
途中からでも帰れるように、
無様を無駄に観察されないように、
絶対に、一人で、
お忍びで、行く。