● 基礎しか勝たん 

 

 恒例の空手備忘録自主稽古編です。 

 

 結構前に空手の先輩とひたすら対連の基礎をやり続ける稽古をしようという話があって一度稽古したのですがその後日程が驚くほど合わず、半ば立ち消えになっていたのを先日の昇級審査で久しぶりにその先輩と会った時に「再開しよう」という話になったのです。 

 

 ついでに家が近い人もお誘いし、基礎練の会が先週からちゃんと始動したのです。 

 

 とはいえなかなか全員は揃わず、先週と今週は私だけ全参加、あとの二人はどちらかがお休みの状況でした。 

 

 私だけ贅沢にも基礎対練の機会が多い訳ですが、やはり得るものは大きかったです。 

 

 こういった基礎対練は同じ人とずっと続けていると、お互いに相手の癖や違いを考慮に入れた動きをし始めるのであまり良くないのですが、たった二人でも相手が違うと感覚が全然違います。 

 

 先週の対練と今週の対練で同じ稽古をしているのに体感としては別の稽古をしている様にすら感じました。 

 

 これはおそらく相手が何を大切にしてその稽古に臨んでいるのかという事にも繋がるのでしょう。 

 

 先週の対練は姿勢の力を意識した感じでした。 

 

 相手になってくれた先輩も最近姿勢の力に関して得たものがあったらしく、押し合いの稽古をしてもぜんぜん動かない強さを感じました。 

 

 そして今週相手になってくれた先輩は押し合いでまた違った要素を大切にしていました。 

 

 それは相手の力を狙った所に引き出す事です。 

 

 力の流れの方に注意を向けているという感じでしょうか。 

 

 これはこれで大切な要素だなと感じる所でしたし、先述の通り同じ形の稽古にも関わらず感覚が全然違うのがとても印象的でした。 

  

 また今週の稽古では柔らかい押し合いに関して先輩が何かに開眼したらしく物凄く翻弄されました。 

 

 押しに合わせて思いっきり自分が引っ張り出されるというか、とにかく自分自身の想定以上に踏み込んでしまい振り回される感じでした。 

 

 相手の押しに合わせつつ大きく踏み込ませる、というのは知識としては分かっているものの、まだ私には上手くできませんでした。 

 

 この辺りは先輩に合気道の経験があり、そもそも人と組んで相手を感知しようとするというような事に対しての慣れがあるからな様な気もしています。 

 

 まだ私自身は一人で完結している感覚があるんですよね。 

 

 しかし、柔らかい押し合いで先輩に振り回されつつも自分自身にもそれで得られる変化はありました。 

 

 それはステップワーク的な物についての変化です。 

 

 私が良く注意されるポイントとして足運びが鈍重という物があるんですね。 

 

 それこそ柔らかい押し合いで大きく踏み込んだりする時に靴底が「コツっ」となるのです。 

 

 勿論靴底の材質の問題もありますが、先輩方は鳴らないので良くないなとは思いつつ、動きの中で工夫しても音は消えませんでした。 

 

 しかし、柔らかい押し合いに開眼した先輩に振り回されるうち、足音がしなくなったのです。 

 

 柔らかい押し合いで振り回されつつもさらに押し込もうと工夫したりするうちに自然な足運びが出来ていたという事ですね。 

 

 頭で難しく足について考えるよりもとにかく体を動かしてアジャストした方が良いという事ですね。 

 

 私が所属する空手はかなり指導の理論体系が出来上がっていますが、細かい理屈よりもまずは数をこなして身体の感覚を鍛えるしかないなと感じました。 

 

 基礎大事。